これが古馬の底力だ。「第12回エルムS」は1、3番人気に3歳馬のロングプライド、マコトスパルビエロが推され、ダート界の世代交代に期待が集まったが、終わってみれば歴戦の5歳馬メイショウトウコンの独壇場だった。
前半はいつもの後方待機策。3コーナーから外を通って進出すると、直線入り口ではもう先頭に並びかける勢い。ゴールまで脚色はまったく衰えず、2着マコトスパルビエロに3馬身半差をつける圧勝を飾った。
「武幸四郎さんから自信を持って乗れといわれていました」と、ケガで戦線離脱した先輩のピンチヒッターを見事果たした池添騎手。「行くのがちょっと早いかなと思ったけど、手応えが良かったので。とくに最後の3Fは抜群でした。58kgも大丈夫でしたね。ボクも自信になったし、本当にいい馬に乗せてもらいました」。先週、JRA通算500勝を達成したのに続いて、遅ればせながらの今年の重賞初Vに、笑顔いっぱいだった。
中間は馬インフルエンザ騒動で予定していた旭川・ブリーダーズGCを除外されるアクシデントがあったが、影響はまったくなかった。この日の上がり3Fは34秒5と芝並みの切れ味。管理する安田伊師は「3歳馬には負けられんと思っていたが、予想以上の強い勝ちっぷりだった」と高い評価を与える。
「馬体も良くなっていた(プラス10kgの458kg)し、58kgも問題なかった。この内容なら胸を張ってGIへいけるね。次走は馬の様子を見てだが、JCダートを目標にいきたい」
昨夏の札幌でダート路線に転向し、これで重賞3勝目。思い出の北の大地で雄姿を見せつけた逸材はまだ進化の途中だ。