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北京五輪卓球 福原愛は“ゴジライズム”を注入していた

 卓球の福原愛(19=ANA・早大2年)はきょう14日、メダルの期待がかかる団体戦1次リーグで午前にスペイン戦、夜には韓国戦という地獄のダブルヘッダーに挑む。韓国戦は1次突破の最大のヤマ場になる。13日にオーストラリアを撃破して波に乗る日本女子団体のエース福原は「サー!」の掛け声を封印。米大リーグヤンキースの松井秀喜外野手(34)の著書「不動心」を読破して開眼した“ゴジラ流”感情コントロール術で、心理戦を制する。

 中国で絶大な人気の愛ちゃんは、団体初戦のオーストラリア戦に2番手で登場。フルセットにもつれる激戦をものにして、チームを初戦勝利に導いた。スマッシュが決まっても「サー!」の掛け声はなし。最終セットはクールな表情で主導権を握って大差をつけた。それでも試合後は「思った以上に緊張してしまいました。攻める気持ちを忘れたのでそこが反省点」と冷静にプレーを振り返り、気持ちを引き締めていたから大したものだ。
 天才卓球少女の愛ちゃんも女子大生。さすがに泣き虫は治ったが、負けず嫌いの性格は変わっていない。感情の起伏が激しく、心理状態でプレーが左右されがちなのは自他共に認める弱点だ。幼少時には、テレビ番組でタレントの明石家さんまに卓球で負けて泣かされたこともある。負けん気の強さが裏目に出てしまうのが悩みだった。

 そこで昨年の欧州遠征中、近藤欽司女子監督が薦めたのが松井の著書「不動心」(新潮新書)。同書で松井は、気持の切り替えが下手だと告白している。コントロールできることとできないことを分けて考えて「悔しい思いは口に出さない」ほうが感情をコントロールしやすいとの結論に達している。つまり、感情をいちいち表に出していると、それにプレーが影響されやすくなり、最大限の能力を発揮しにくくなるというわけだ。
 “ゴジラの教え”を読み終えた愛ちゃんは、メジャーリーグで活躍する一流選手が自分と同じような悩みを持っていることに親近感を覚え、すぐにできることから取り組んだ。食生活のヒントなどにも役立てるバイブルになったという。
 北京五輪に照準を合わせたように今年5月からピタッと「サー!」の掛け声をやめていた。北京入り後の練習で掛け声を一度復活させたが、これもダブルスでのゲームテンポを握るための発声。感情を爆発させたそれとは違う性質のものだった。
 まだ19歳とはいえ、今回の五輪では日本代表の旗手を務めるなど完全に大人に生まれ変わっている。

 2004年のアテネ五輪で「(取材を受ける)ミックスゾーンで泣くのだけは嫌だった」と悔しさをにじませた愛ちゃんは、北京を目指して中国のトップリーグを経験。陶磁器の人形のように肌がなめらかなことから「瓷娃娃(ツーワーワー)」の愛称で親しまれ、中国人選手並みに注目される。世界卓球8大美女にも選ばれるなど、中国人男性にとってはアイドル的存在となっている。

 今回の北京五輪では、現地入りの際に空港が混乱するほどの熱烈歓迎を受け、気合も十分。しかし、卓球を国技とする中国には強敵がわんさかいるため、世界ランク12位の愛ちゃんが個人でのメダル争いに食い込むのはきわめて厳しい状況にある。
 一方、今大会からダブルスに代えた新種目の団体は十分メダル圏内。午前中のスペイン戦ではなるべく体力を温存し、夜の韓国戦に臨みたいところ。冷静な試合運びをするためにも「サー!」を封印する必要がある。クールに戦う愛ちゃんの姿に、ますます中国人ファンが増えそうだ。

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