また、YouTubeは、有名人でなくとも稼げるということも魅力の1つ。特に、公共交通機関の運転手のように人々から羨望の眼差しを受ける職業に就く人物は、その様子を公開することで高い視聴回数を稼ぐことが可能になる。
もちろん、そのような行為は職務規律違反となるのだが、それを承知で「やってしまった」人物が、2016年に現れた。その人物とは、阪急バスに運転手として勤務していた運転手。2016年8月までに、回送中のバスを運転中、スマートフォンで走る様子を撮影し、その様子をYouTubeに投稿していた。その数は52件にも及ぶ。なお、営業中に動画を撮影したことはないとのこと。
動画の投稿は阪急バスに外部から指摘が入り、事態が発覚。運転手はバイクや車の運転動画を投稿しており、動機について「視聴回数を増やしたかった」と話す。つまり、視聴回数を増やし、収益を上げたかったということだろう。阪急バスでは、スマートフォンをバス内に持ち込むことが全面的に禁止されており、運転手は5日間の謹慎処分となる。
事案発生時、ネットユーザーからは「処分が甘すぎる」「営業していないとはいえ安全意識が低すぎる」「味をしめれば必ず営業中の動画も撮影しアップしようとしたはず。謹慎5日でいいのか」と批判の声が上がることになった。
ユーチューバーで高収益を得ることは容易ではなく、動画投稿者たちは「より目新しいもの」を求める傾向がある。それがエスカレートしてしまうと、今回のような事案になってしまう。この運転手が現在も阪急バスに勤務しているか否かは不明だが、解雇や減給処分を受けなかったことは、彼にとっては幸運だったと言える。