まずは、阪神がナゴヤドームを苦手としている点だ。ナゴヤドームは1997年にオープンした。昨季までの過去20年間で、同球場での阪神の勝率は3割4分9厘。「71」も負け越している。今季は白星スタートとなったが、ここには新加入の糸井嘉男(35)のデータが重なってくる。糸井は同試合までの全15試合全てにスタメン出場しているが、「両極端な傾向」も見せている。
糸井は本塁打、打点、得点圏打率はチームトップ。対戦カード初戦の打率は3割2厘と好成績なのだが、どういうわけか、第2戦以降は1割9分4厘と落ち込んでいる。「鬼門」とも称されるナゴヤドームでの試合で、白星スタートを切れたのは、糸井の一打もあったからだろう。
しかし、初戦と第2戦以降の「差」は、一体、何なのか? 対戦チームのマークも厳しくなるのは分かる。しかし、糸井側も対戦チームのこと、先発投手の特徴などをスコアラーから聞かされているだろう。また、一般論として、対戦カード3連戦の初戦に先発する投手と2戦目以降で出てくる投手を比べると、成績は前者のほうが「上」だ。
「交流戦でのデータがあるので、糸井がどういうバッターであるか、得意なコース、球種も分かっているはずです。再確認というか、改めてデータを見直す意味で、初戦は『打たれてもいい』という配球で臨んでいるのかもしれません」(プロ野球解説者)
糸井は第2戦の19日は、5打数ノーヒット。サヨナラ負けを喫した。奇しくも、ナゴヤドームでのペナントレース最初の3連戦だが、3年連続でサヨナラ負けを喫した。昨季、一昨季は2試合もカウントしている。
今季のサヨナラ負けは、1767試合連続試合出場のメモリアルを迎えた鳥谷のミスによって生じた。鳥谷はチームにおける影響力の強いベテランでもある。その鳥谷のミスで負けたとなれば、ベンチの雰囲気も重苦しくなってくる。それを払拭するには鳥谷自らのバットで勝利を呼び込まなければならない。
ちなみ、金本知憲監督(49)は就任以来、貯金5をカウントしたことがない。19日は貯金4だったので、初の「5」がカウントされるかとも期待されていたが、失敗に終わった。ナゴヤドームでの勝率の低さ、3年連続サヨナラのジンクス、そして、糸井の第2戦以降の打撃成績。データ上では、阪神は負けるべくして負けたことになるが…。鳥谷のリベンジが果たされなければ、今年の阪神は早々に首位戦線から脱落してしまうだろう。