「ハーツクライやツルマルボーイ、あのあたりと比べたらやっぱり一枚落ちる」慎重な物腰で切り出した橋口師だが、ローゼンクロイツにかける思いはもちろん熱い。
目下、重賞2連勝中だ。中京記念、金鯱賞ともに今回と同じ左回りの2000m。小回りをものともせず繰り出した鋭い末脚は、東京の長い直線がよく似合う。今のところ当地では<0002>だが、これは一昨年のダービーと昨秋の天皇賞。本格化する前の成績は度外視していい。
限界以上の末脚を使うタイプによくある脚部不安。それを見越して今回は5月の金鯱賞からぶっつけのローテーションを選んだ。「使い込むより久々の方が走るタイプ。前走もそうだけど、仕上がってさえいれば、きっちり力を出せる」名門・橋口厩舎の仕上げに抜かりのあるはずがない。
その橋口厩舎が名門への第一歩を記したのがこの天皇賞・秋だった。1992年、初のGIをレッツゴーターキンでものにした。あのときの単勝が11番人気。後方待機の一発長打狙いでトウカイテイオーなど並み居る強豪を差し切った。
「一線級相手にどこまで通じるか。でも良馬場なら見せ場はつくれると思う。“一走入魂”だよ」
ローゼンがGIを勝つとすればここしかない。狙い済ました一撃で、15年前の再現を狙う。
【最終追いVTR】DWコースで併せられた。直線では併走馬と馬体を併せての追い比べ。左ムチがビッシリと叩き込まれたものの、反応が鈍かった。併走馬の脚色の方が目立っていて、結局、半馬身遅れとなった。このひと追いでの変わり身がポイントとなりそうだ。