今春の京王杯SC、スズカコーズウェイはしびれるような切れ味を発揮し、ゴール前の大混戦を制した。それは同厩舎で同馬主だった2007年の高松宮記念の覇者スズカフェニックスをほうふつさせる末脚だった。
「直線で確実に差してくる点はよく似ている。まだ実績的には見劣りするけど、コーズウェイも同じようにGIでの活躍を見込んでいるんだ」。番頭格の込山助手も短距離戦線で一時代を築いたフェニックスに負けない期待を寄せる。
今回はその偉大な先輩に近づくチャンスだ。秋に入ってからはセントウルS6着→スワンS5着と結果を出せなかった。しかし、2走前はスプリント適性を見極めるための試走であり、前走は間隔があいた分の太め残り…敗因はハッキリしているだけに陣営にショックの色はない。
「セントウルSの結果を見てスプリンターズSへの挑戦は見送った。それもあって間隔が少しあいてしまったからね。前走は斤量面(58キロ)で厳しかったのもあったけど、それ以上に太めがこたえた」
そのスワンSから中2週。すぐに乗り込みを開始した今回は体もシャッキとしてきた。もちろん、ただ仕上げるだけではGIでは通用しない。普段以上に運動量を増やし、余分な肉を極限までそぎ落としたGI仕様だ。
ストイックにケイコを積んできた効果は1週前(13日)の追い切りにも如実に表れていた。栗東Wコースで6F80秒9、ラスト1Fは躍動感あふれるフットワークで12秒1を計時した。
「今度は馬体もきっちり絞れてくるはず。現状は千四がベストだけど、マイルでも切れ味が鈍るような面はないし、何より最高の状態で挑戦できるからね。春のような末脚を見せてくれると思う」
舞台は身上の切れ味をいかんなく発揮できる京都の外回り。反撃のおぜん立ては整った。