井上氏は、阪急電鉄、毎日放送を経て'05年に松竹に入社。'11年からは社長に就任し、その一方で、子供たちのコミュニケーション不足に、お笑いからアプローチする“笑育”“出前授業”を打ち出して注目されていた。しかし、松井氏が幹事長を務める『大阪維新の会』以外では、この抜擢を評価する声が少ないというのだ。
その理由を、ある大阪市幹部OBがこう語る。
「井上さんが松竹芸能というのが引っかかる。というのも、かつて大阪府は『ワッハ上方』(大阪府立上方演芸資料館)閉鎖を巡り吉本興業と争っており、両者の関係はいまだにヒビが入ったままといわれている。取り方によっては、今回の同業者社長の抜擢が、大阪府の意趣返しとも取れるわけです」
このような動きを吉本興業はどう見ているのか。関係者は次のように語る。
「井上さんの起用がウチへの牽制なんてオーバーな話で、全く気にしてませんよ。ただし、もし今後府や市のイベントに松竹さんのタレントを使うことが増えたりしたら話は別ですけどね」
また、今回の井上氏起用については、こんな見方も。
「確かに吉本への牽制という意味合いもありますが、それより東京の意向がある気もします。井上さんの起用は中原徹府教育長の推薦ということになっていますが、そもそも井上さんは松竹本社の出身。さらに井上さんたちが進める“笑育”事業はバックが日本財団です。つまり、つながりのある石原慎太郎さんや平沼赳夫さんあたりの影響なのでは」(全国紙記者)
思惑はどうあれ、教育界の改革が進めばいいのだが。