他局の若手編成マンから、こう軽んじられるフジテレビが土壇場になって4月期の番組編成を発表(3月7日)した。すでに日本テレビを始めとするテレビ朝日、TBS、テレビ東京などはとっくに新編成案を発表済みなのだ。
「編成発表が早ければスポンサーも喜ぶし、何よりも番組PRがスムーズになるんです。イコール高視聴率にも結びつく。視聴率が取れないなら、一番に発表し先手を打つのが定石なんです。最後発というフジの現状を見ても、後手後手に回った混乱ぶりが手に取るように伝わってくる」(テレ朝編成関係者)
さらに、フジはスポンサーを激怒させるという大失態までやらかしていた。テレビ局の顔ともいうべきゴールデン&プライム帯で新たに5番組がスタートする。
ところが、だ。番組新タイトルが決定していたのは生瀬勝久と高島彩が司会の『ニッポンのぞき見太郎』(火曜21時〜)、小泉孝太郎とバナナマンの『モシモノふたり〜タレントが“おためし同居生活”してみました〜』(水曜22時〜)の2本だけ。残り3本は仮タイトルのままだったのだ。
「くりぃむしちゅー、タカアンドトシの『あの人はなぜホメられるのか?TV』(火曜19時〜)、おぎやはぎが司会の『イケてる男と聞きたい女』(金曜19時〜)、南原清隆『超ハマる!爆笑キャラパレード』(土曜19時〜)の3番組が仮タイトルだったんです。視聴率がトップならまだしも、キー局で視聴率最低を争うフジがやるべきことではない。スポンサーは高額の広告費を出稿するのに社内外で『うちはフジの○○という番組のスポンサーなんです。まだ番組タイトルは仮ですが…』などとやり取りしなければならない。呆れて物が言えない」(大手化粧品メーカー広報部幹部)
当然、これら5番組の行く末は火を見るよりも明らかなのだという。
「火曜19時の『あの人はなぜホメられるのか?TV』の裏には『火曜サプライズ』(日テレ)が、火曜21時の『ニッポンのぞき見太郎』の裏には『解決ナイナイアンサー』(日テレ)、『マツコの知らない世界』(TBS)などの人気番組がひしめいている。水曜22時の『モシモノふたり“おためし同居生活”してみました』も裏には『水曜日のダウンタウン』(TBS)や『報道ステーション』(テレ朝)、金曜19時の『イケてる男と聞きたい女』の裏にも『爆報!THEフライーデー』(TBS)が圧倒的な強さを誇る。土曜19時の『超ハマる!爆笑キャラパレード』の裏には『天才!志村どうぶつ園』(日テレ)が…。フジの新番組が入り込む余地は微塵もないのです」(大手広告代理店)
ただでさえ、今期からNHKが新たにゴールデン&プライム帯戦線に殴り込みを掛けてくるのだ。
「定番の『ニュース7』(19時〜)や『うたコン』(火曜19時30分〜)、『ブラタモリ』(土曜19時30分〜)、『クローズアップ現代』(月〜木曜22時〜)などが新編成された。日テレやテレ朝、TBSでさえ、既存の番組視聴率を落とすことを危惧しているんです。とてもじゃないが、PRがまともにできない番組を見ようなんて視聴者は少ないのでは…」(制作関係者)
フジテレビの不人気ぶりに対し、大手広告代理店幹部もため息をつく。
「フジに出稿するスポンサーの多くが、他に出稿先がなかったからなんです。本音は視聴率のいい日テレやテレ朝に出したい。でも、番組は放映時間に限りがあり、しかも既存のスポンサーが枠を譲らない。メーカーにしてみれば、CMを流さないとモノは売れないというジレンマがある。残念ながら日本のネットCMはコンプライアンス面はもとより、そもそもの売り上げ効果は欧米ほど見られず、頭打ちの状態なんです。しかも、テレビをもっとも視聴するのが一番お金を持っている50代以上の男女。フジは視聴率を取らない限り、ますますジリ貧になりますよ」