2歳女王の鮮やかな復活劇だった。第69代の樫の女王の座についたのは4番人気のトールポピーだった。
前日からの雨であいにくの稍重馬場となったが、「午前中に乗って確かめたら、内側はそう悪くなかったから」と池添騎手。前半は迷わず中団のインにつけた。勝負どころの直線で急激に内に切れ込み、審議の対象(危険な騎乗により2日間の騎乗停止)になる場面もあったが、最後まで伸び脚は衰えず、エフティマイアの猛追をアタマ差抑えて栄光のゴールへ飛び込んだ。
「最後でみんなに迷惑をかけてしまったのが反省点ですね」ちょっぴり後味の悪い勝利に、ジョッキーの表情は硬さが見られたが、何はともあれ1番人気に推された桜花賞8着の借りは返した。「あの悔しさはオークスで晴らそうと思っていた」兄はクラシックを迎えると同時に急失速したフサイチホウオー。戦前は周囲の雑音もあったが、“血の宿命”を見事に打ち破ってみせた。
「体重が増えていたのは何より。体がしっかりして、返し馬ではいいフットワークで走っていた。桜花賞よりいい雰囲気だったし、直線の反応も良く、しっかり伸びてくれました。2歳の夏から絶対にオークス向きだと思って、厩舎スタッフとともにやってきた馬。結果を出せて良かった」
阪神JFに続くGI制覇で、名実ともに3歳牝馬の頂点に立ったトールポピー。今後について、角居師は「まだ未定」と前置きしたうえで「アメリカンオークスも選択肢に入っている」と荘大なプランを口にした。日米オークスを制した厩舎の偉大な先輩・シーザリオに続くか、注目だ。