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ザビエルの弟子が作った?禁忌の風習が存在する?謎に満ちた「クロ宗」

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 人気漫画であり、ドラマ化もされた「Dr.コトー診療所」の舞台となった離島、甑島列島。鹿児島県に属し、上甑島・中甑島・下甑島の主な3島で構成され東シナ海に浮かぶこの島には、隠れキリシタンの伝承が多い。

 上甑在住の郷土史家・塩田甚志氏は著書で、「甑島のクロ宗は、島原の乱のキリシタン残党の末裔から来るものではないか?」とする仮説を発表している。

 事実、甑島にはザビエルの弟子・ヤジロウが島原の乱の後、信者たちを連れて避難してきたという話が残されている。ヤジロウは別名アンジロー、アンジェロとも言い、殺人を犯し逃亡していた罪人であったが、ザビエルと出会って改心、キリスト教に帰依したとされている人物だ。同島に存在する天上墓はヤジロウの墓と言われており、同地に根付くクロ教(クロ宗とも呼ばれる)は、ヤジロウたちが密かに代々伝承していたキリシタン信仰が変貌していたものであるという仮説がある。

 キリスト教が禁教とされていた江戸期、キリスト教徒は幕府の目を離れつつ、密かに信仰を続けていた。しかし、閉鎖され秘密化されていくうちに教義が変質していき、信仰も土着化して本来のキリスト教とは違う宗教形態を持つようになってしまったのだという。クロ教もその一つだとされている。
今でもクロ教に対する信仰を続けているのは、わずかに20戸ほどに過ぎないとされるが、実態は明らかになっていない。島の人々にとってもタブーなのか、クロ教の存在自体に対して固く口を閉ざしている。クロ教の信徒らは一地域に集まって暮らしているのだが、塀を高くし窓すら見えないようにしているのだという。実際に島を訪れた人によると、家すら見えないほどの高い壁が組まれていたという。この地域であれば、台風よけのために家の周囲に壁を築く家も多いのだが、クロ教信徒の集落はそれとも違う様子であったという。

 クロ教の、信徒以外の者に対する徹底した秘密主義故か、はたまた詳細が解らない事が人々の憶測を呼んだのか、そのどちらもか。興味本位の風聞に過ぎないが、クロ教には血なまぐさい風習の伝説がまことしやかに囁かれている。

 クロ教徒の誰かが臨終を迎えると、周囲の信者は集まって集会を開く。そして、臨終を迎えた者の息があるうちに、体から血を抜き取り、集まったすべての信者がその血を飲んだり、生き肝を取り出して食べると言われているのだ。そして、残った遺骸は布で巻かれて運び出され、埋葬されるという。

 だが、これはオカルト系の書物で見られる記述であり、結局、クロ教の信仰形態の真実はまったく不明のままである。この手の書物では読者の注目を引くように、わざとおどろおどろしく内容を強調して記述される事が多いので、クロ教の噂も現代になってより加速した一面がある可能性も高い。

 なお、甑島はどの島も過疎化が進んでおり、信者も減少傾向にあるという。クロ教は誰にも知られぬまま、消滅してしまうのかも知れない。

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