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男と女の官能事件簿 不倫相手の医師を暴行の上に1000万円払わせた夫婦美人局(2)

 都内の医師(47)が自分の妻の絵理(26)と不倫関係にあったとして、「話をつけよう」と呼び出した川崎市に住む会社員の植木芳雄(37)。平日の午前中、話し合いの場所は芳雄の勤める会社の倉庫の中であった。

 人気のまったくない倉庫内には、芳雄と絵理の夫婦、そして医師の3人だけである。
 「先生、いったいどうしてくれるんだ!」
 神妙にしている医師に向かって、芳雄は怒鳴りつけた。
 「は、はい、あの…」
 「ヒトの女房に手を出しておいて、タダで済むわけはないだろうが!」
 医師に執拗に罵声を浴びせかける芳雄。その様子を、絵理は傍らで黙って見ていた。
 身長が高く、しかも筋骨隆々とした芳雄ににらまれ、医師はすっかり萎縮していた。
 「不倫なんてマネをしたんだから、キチンと詫びるのが当然だろう!」
 そう怒鳴ると、芳雄は医師の腹を蹴り上げた。
 「うぐっ!」
 うずくまる医師の顔面を、今度は握りこぶしで力任せに殴った。
 「ぎゃあっ!」
 絶叫とともに、倉庫の床に転げ回る医師。しかし、芳雄は手を休めなかった。倒れている医師の服をはぎ取って裸にすると、さらに顔面などを何度も殴りつけた。医師は目の下が腫れ上がり、その場に裸のまま這いつくばった。

 それを見ながら、芳雄はポケットからライターを取り出すと、火をつけて医師の顔面に近づけながら言った。
 「詫びとして、1000万円払え。わかったか!」
 そして、さらにライターの火を近づけた。
 「ひいーっ!」
 医師は芳雄と絵理の要求に応じ、その倉庫の件から2週間後の2月20日、2人の自宅まで現金1000万円を持参した。
 「うまくいったな」
 札束を見て、顔を見合わせて笑う芳雄と絵理。実は、最初からカネを脅し取る目的で絵理を医師に仕掛けた、計画的な美人局だったのである。

 それだけでやめておけばよかったのだが、2人はその後も、しばしば医師を脅してはカネを巻き上げていた。
 だが、度重なる脅しに、医師は全てを妻に告白し警察に被害届けを出した。そして2004年3月17日、警視庁深川署は芳雄と絵理を強盗傷害の容疑で逮捕したのである。
 警察の取り調べに芳雄と絵理は、「カネは受け取ったが、不倫の詫びとして当然だ」とうそぶいていたという。(了)

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