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「ネズミバーガー」の元ネタ・巨大ネズミは昔から日本に…

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 「某社のハンバーガーは巨大ネズミの肉で作られている」という都市伝説「ネズミバーガー」の元ネタとなった巨大ネズミの正体は、南米原産ネズミの一種ヌートリアとされている。

 日本でも第二次世界大戦中、ヌートリアを食用として輸入し、繁殖させたことがあった。飼育されたヌートリアは体長50〜75cm、体重5〜15?にも成長する。戦後、ヌートリアの需要が減り、捨てられたものが野生化して、現在では害獣として駆除されている。この野生化したヌートリアこそ「ネズミバーガー」の元ネタになった巨大ネズミの正体と考えられる。

 しかし、ヌートリアが輸入される前にも巨大ネズミは日本にいたのだ。江戸時代に目撃された巨大ネズミとは、長い年月を経て鼠が妖怪化した「旧鼠」という妖怪である。旧鼠は、猫を獲って食べたり、人にも害をなしたといわれる。逆に死んだ親猫の変わりに乳を子猫に与えて育てたこともあった。諺の「窮鼠猫を噛む」という語句は、逃げ場を失った鼠は遂には猫にも噛み付くという意味だが、妖怪「旧鼠」は「窮鼠」との語呂合わせたとものだという説もある。明和〜寛政年頃、神沢杜口によって書かれた随筆『翁草』に旧鼠の話がある。

 宝暦元(1751)年島田町(愛知県名古屋市天白区)で染物屋を営む小川屋利兵衛の家では、不可解なことが起きていた。利兵衛の寝間にある行灯の火が異常に早く消えてしまうのだ。早寝の利兵衛の様子を妻のお静が確認すると、すでに行灯の油が無くなり灯かりが消えている。不振に思ったお静は、その原因を確かめるために押入に隠れ、行灯の様子を伺った。すると、天井裏から大きな鼠が現れ、長い舌で行灯の油を舐めだした。大鼠は油を嘗め尽くすと、再び天井裏へと消えた。その当時、庶民の間では比較敵的安価な鰯油(魚油)を利用していた。

 翌日、大鼠を退治しようと、近所から猫を借り、大鼠が現れる頃をするりと見計らって、猫をけしかけた。大鼠は猫を怖がる様子も無く、猫が飛び掛ってくるのを交わし、猫の喉笛に噛み付いて殺してしまった。

 何とか大鼠を退治しなければと、小川屋の番頭は漢学者・梶原津三郎のもとへ相談に行った。小川屋に現れた大鼠の正体は旧鼠という化物で、これを退治できるのは犬をも噛み殺すという老猫しかいないということで、津三郎知り合いから老猫を借り受けた。

 その夜、老猫を旧鼠に立ち向かわせてみたところ、二匹は暫くの間にらみ合っていたが、やがて旧鼠は耐え切れず老猫に飛び掛っていった。ところが、老猫は何の苦もなく、旧鼠の喉笛に噛み付くと一瞬のうちに殺してしまったという。

(竹原春泉画『絵本百物語』より「旧鼠」「ネズミバーガー」イラスト:ナマハゲ)
(皆月 斜 山口敏太郎事務所)

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