本田が9月4日、初めてサッカー・カンボジア代表の練習で指揮を執った。指導者ライセンスを取得していないため、肩書はGMだが、実質的な監督だ。マレーシアとの親善試合では逆転負けはしたが、練習段階では専門誌の記者から「可もなく不可もなく」と評価されている。
「指導者側が目立つのはいいとは言えない。何をやっているのか分からないくらいがちょうどいい」(同)との皮肉の声も聞かれたほどで、今季J1のヴィッセル神戸入りした元スペイン代表のアンドレス・イニエスタ(34)と比べると、その差は歴然である。
「神戸選手の名前と顔、あだ名、経歴までしっかり暗記していたんです。実戦デビューするまで、全体練習に参加したのは、たった2回だけなのに」(関係者)
その理由についても、選手でありながら「チームを強くする義務がある」と語っているという。
イニエスタは世界屈指の名門クラブ、FCバルセロナで16年間プレーした超一流選手。その高度なテクニックから「魔法使い」とも称されてきたが、決して偉ぶることはない。
「通訳なしで会話は成立しませんが、練習中もチームメートに直接話し掛けたり、何か言いたげに相手の方を見たりします。世界のトッププレーヤーにそんなことをされたら、日本人選手のほうが焦ります。なんとか英語で対応したり、日本人選手のほうから通訳を探したり、コミュニケーションをとろうと必死です」(同)
イニエスタは英語圏の出身ではなく、スペイン語が母国語だが、食事会にも積極的に参加するそうだ。世界のトップがどんな考え方でサッカーに取り組んでいるのか、神戸選手も興味を持たないはずがない。チームは確実に変わりつつある。これが「一流」と「超一流」との違いなのか――。