A:雨がしとしと降り、じめじめとする梅雨の気候は湿気があふれています。こういう環境では、体にも湿気が入り、漢方でいうところの「水毒」、「湿毒」の状態を引き起こします。体のだるさは、体内に溜まった湿気によってもたらされているわけです。
漢方ではこれらの治療に利水作用がある漢方薬を用い、体内の湿気を取り除こうとします。それには、外用と内用の二つがあります。
外用の代表的なものが「菖蒲」でしょう。菖蒲には、古くから病邪を払う力があると考えられてきました。病邪は病気を引き起こす要因で、その代表的なものが暑さ寒さや蒸し暑さなど自然現象です。日本の梅雨は湿気が強いので、体の内部にも湿気がこもり、そのために体がだるくなるし、リウマチなどの関節痛が起きたり痛みが悪化するなど、湿の症状や病気が引き起こされるのです。
菖蒲は湿気を払う作用がありますが、1日だけ菖蒲湯に入ったからといって、体内の湿気が取れるわけではありません。梅雨時期は、毎日入るとよいでしょう。この薬湯に入ると、体のだるさの解消だけでなく、肩こりや腰痛もスッキリしてきます。
●桜湯とレンコンもお勧め
菖蒲の代わりに、桜の葉を使う方法もあります。桜湯に入ると関節リウマチや関節痛に効果があります。
用い方としては、取ったそのままの葉でもよいですし、乾燥したものでも構いません。布で専用の小さな袋を作り湯船に入れるとよいでしょう。芳香が漂い、リラックス効果が得られるのもメリットです。
一方、内用でお勧めしたいものにレンコンがあります。レンコンは、果実や葉も生薬ですが、食用にする下茎にもいろいろな作用があります。水分や血、気を(漢方でいう、人体エネルギー)よく巡らせ、それら気血水のバランスを整えます。利水作用があるので、体内の湿気を取る働きがあります。
レンコンは、粉末やパウダーが商品として流通しています。これを菓子や料理に使って利用することもできます。また、粉末を粒に加工した健康食品も販売されています。
岡田研吉氏(玉川学園・岡田医院院長)
東邦大学医学部卒。ドイツ留学中に東洋医学に関心を持ち、帰国後、国立東静病院で漢方を学ぶ。独自の漢方処方で生活習慣病などに成果を上げている。著書『さらさら血液が長生きの秘訣』など多数。