1980年代後半の人気トイ「聖闘士聖衣大系(セイントクロスシリーズ)」における「全身可動の素体とダイキャスト製アーマー(クロス)のセット」というコンセプトを、最新の技術と造形美とプレイバリューで表現した新たなアクションフィギュアシリーズが「聖闘士聖衣神話(セイントクロスマイス)」である。(魂ウェブHPより)
「聖闘士聖衣体系(セイントクロスシリーズ)」は1986年〜1990年、少年ジャンプにて連載された車田正美の漫画『聖闘士星矢』のアニメーション版に伴って展開された関連商品であり、言わばプロテクターヒーローもの、またプロテクター装着玩具のパイオニアとなった存在である。
そして、オリジナルのキャスト&スタッフを揃えて2003年から制作開始されたOVA版『聖闘士星矢』の人気を受けて新たにスタートした新生ラインナップが『聖闘士聖衣神話(セイントクロスマイスシリーズ)』である。
キャンペーン商品としてリリースされたアテナ等の女性キャラクターを除いてTVシリーズ当時に「聖闘士聖衣体系」にて発売された主なキャラクターはほぼ商品化されている。
OA当時の「聖闘士聖衣体系」では発売されなかったキャラクターも次々と初の立体化を成し、今やフィギュア全般においても屈指のラインナップ数を誇るブランドへと成長している。
しかし、シリーズ中盤においてはOVA展開の盛り上がりに合わせ発売当日に店頭に並ぶや否や即完売するほどの勢いを誇っていた同シリーズだが、ここ最近においては徐々に“新商品”であっても主人公キャラクター・脇役に関係なく在庫が目立つようになってきた。店舗によっては、発売から間もなくして大幅な値引きセールスを行っているところもチラホラと見受けられる。
この背景には、あまりにもシリーズの数が多くなりすぎてしまった為に多くのユーザーのコレクションのキャパシティが限界に達してしまった事。そして、この不景気に加えて原材料である石油高騰によって商品が値上がりしてしまった事等が挙げられる。
また、シリーズスタートのきっかけとなった新作OVAの主要キャストがシリーズの途中において突如大幅に変更されたことによって、昔からの多くのファンの作品しいては関連玩具である「聖闘士聖衣神話」への熱意が冷めてしまった事が少なからず影響している様である。
その他、新作の売れ行きの伸び悩みとして考えられる事は、“あまりにも限定商品が多い事”が考えられる。過去にシリーズ購入者を対象としたキャンペーン商品展開が4度あり、その他イベント限定品が10種類を超えている程である。
一般商品を発売当日に早朝から並んで集め続けた熱心なコレクターも、このイベント限定品の争奪戦の過酷さに付いていけず断念した者も多いようだ。
まさしく過渡期に差しかかかったと言える同シリーズ。栄枯盛衰、盛者必衰とは言うが、同シリーズは海外でも爆発的ヒットを記録した歴史的ブランドである。ここがまさしく正念場といったところだろう。
従来のユーザーをけん引しつつ、新しいファンも取り込みながら頑張ってほしいものだ。
(小野寺浩 山口敏太郎事務所)
【参照】山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou