約半年前まで服役していたんですが、一番つらかったのはやっぱり彼女に会えなかったことです。
それまでの俺は女なんか穴としか見てなかったし、浮気もしまくりだったんですけど、塀の中で何が本当に大切なのかに気づきましたね。毎日のように手紙をくれて月一は必ず面会に来てくれた彼女に、触れたくても触れられない日々がどれだけもどかしかったか。
ところが、いざ出所してみると「ゴメン、ちょっと体調悪くて」と彼女が一日一発しかヤラせてくれない。というよりも、あのラブラブだった手紙とトーンが全然違うというか、どこかよそよそしいんです。
それで、こりゃあ何かあるなと思って押し入れに隠れて観察したところ、信じられない光景を見てしまいました。あの女、思いっきり俺の兄貴分と浮気してやがったんです。
すぐにその場から飛び出して、人類皆殺しにしてやりたい気持ちでしたけど、あの女の見たこともない表情を眺めながら一発抜いた瞬間に、急に冷静になりましてね。それで「この女には死ぬより恥ずかしい目に遭わせてやろう」と。
するとハッとひらめいたので、刑務所の中で噂に聞いていたインスタグラムを開設しましてね。無音で動画が撮れる便利なアプリを見つけて、その場からインストールしました。
実名や電話番号はもちろん、職場の住所まで入れて、無修正動画を投稿してやりましたよ。本当に便利な時代になりましたね。
★ガキのようなイタズラが好きな先輩への仕返し/元暴走族・千賀健之(仮名・44歳)さんの場合
暴走族時代の先輩の話なんですけど、本当にガキ臭い悪さが大好きで、カエルのケツの穴に爆竹を入れたり、いきなり窓から部屋の中にロケット花火打ち込んできたり、小学生かよって話じゃないですか。
すると、ある時そんな先輩がヤクザに拉致られて、監禁されてるって話になり、見殺しにしたい気持ちを堪えてみんなで助けに行ったら、やっぱり嘘だったって事件がありましてね。こっちはみんなサラシ巻いて日本刀背負って、死ぬ覚悟で現場に行ったんですよ。文句を言ったら先輩は逆ギレしてましたけどね。
ただ、この事件でさすがに俺らも、先輩に対して距離を置くようになったので、向こうも気を引きたかったんでしょうね。100円ライターのカバー外して、火力を強めるイタズラあるじゃないですか。あれを俺に仕掛けてきて、自慢のリーゼントが焦げたんですよ。
さすがにこの時は俺もブチ切れて、つかみかかりました。とはいえ、まわりの仲間に制止されたので一発も殴れず、腹の虫が治まらないじゃないですか。
そこで、人生でそれまで一度も使ってなかった頭脳をフル回転させ、先輩の大事なバイクに何かカマそうと思いまして。花火の火薬を10万円ぶんくらいほじくり出して固め、バイクのスパークプラグの部分に仕掛けたんです。
すると、先輩がバイクのエンジンをかけた瞬間、こちらの想像よりもはるかに衝撃的な勢いで爆発して、先輩なんか吹っ飛んでしまいましてね。うっかり殺してしまうところでしたけど、先輩がその後、バイク屋に怒鳴り込んでいたので、そのままにしています(笑)
★法の番人面した近所のジジイに応戦/現役ヤクザ・藤ヶ谷太郎(仮名・47歳)さんの場合
ローンも組めない立場にありながら苦労に苦労を重ね、昨年、念願のマイホームを購入したんですよ。ところが、近所になめたジジイがいましてね。
法の番人面してゴミ収集所の前で目を光らせ、少しでもゴミが分別できていないと、その家庭の玄関に置き直し、分別できてないゴミをわざわざ袋から出して並べるんです。おまけに、学生運動さながらの書体で〈ゴミを分別セヨ!〉なんてチラシまで置いていくんですから。
女なんかだと、ゴミ袋を開けられてるだけで気持ち悪くて仕方ないじゃないですか。うちの女房も精神的に参っちゃいましてね。それで、まずは王道の宅配攻撃で応戦。日中はピザ、寿司、中華と日替わりで出前を注文し、夜間はタクシー、水道屋、鍵屋に電話。特にデリヘル攻撃は男性従業員とのバトルが見ものでしたが、さすが腐れジジイ。全然こたえてないんですよ。
ならば仕方ない、闇の力を使うしかありません。自分のケツにバイブを突っ込みながら、幼女にイタズラしているジジイの写真を合成し、とどめに〈17歳以上のババアに興味はナイ!〉などと記した怪文書を町内にばらまいたんです。
この場合、ジジイは被害者ですが、特に小さな子供を抱えているオバサン軍団の怒りと恐怖の矛先は、ジジイに向かうしかないですからね。
「誰に恨みを買っているのか知りませんが、すぐにやめさせてください!」「もうゴミをあさるのもやめてください!」と集団で怒鳴り込み、ゴミ収集所にもオバサンたちが当番制で先回りして逆に触らせず、ジジイは完全に村八分です。
でも、いまだジジイも抵抗を続けていて最初は猫よけのペットボトルくらいでしたが、今では机やら椅子やらを庭に並べてバリケードを構築してるんですよ。本当に頭がおかしくなったんですかね(笑)。