日本女子ゴルフツアーの元賞金女王、服部道子(40=三共生興)が年内に結婚することが分かった。お相手は亡き父・弘道さんと同じ医師。都内の日本医大記念病院に勤務する38歳の内科医である。
服部は、7日閉幕したリゾートトラストレディース(滋賀、ザ・CC)に参戦、15オーバーの最下位に終わったが、結婚を明かした大会だっただけに終始ニコヤカ。「今週は予選を通過しただけでもよかった」と軽やかに語った。
既に結納を済ませ、入籍も近日中に済ませる予定だという。今年になって知り合い、5か月足らずのスピード婚だったが、「ビビッと来た感じ?」の質問に「そうですね。同じ空気でいられるんです。子供は1人以上欲しい」と語るなど、明るく幸せそうな笑みは絶えなかった。
しかし、このおめでた報の一方でこんな声も。
「服部が結婚? これで彼女の華麗なプレーも見納めになるのかなぁ。結婚するとほとんどの女子プレーヤーは勝てなくなって、最後は引退…。ファンとしては寂しい限りだよ」(20年来の服部ファン)
女子プロのツアー選手の結婚が5、6年前から目立つようになった。03年には原田香理、元木佳代子、平尾名芳子らの結婚が相次ぎ、話題を集めた。いずれも一時期ツアーで活躍した選手だ。
古いところではピンクのウエアに身をつつみ、颯爽と優勝さらっていく姿に“ピンクパンサー”の異名が付いた台湾のトアギョク選手(54=ミズノ)。いまだに日本人ファンが多い。
74年に東海クラシックでの初来日V。81年からJLPGAに正式入会してから、日本ツアーに本格参戦。それ以後は大活躍。82年からの5シーズだけで計41勝を挙げる驚異的な強さを見せ、賞金女王に5年連続、7回王座についた。
そのトアギョクも88年2月、恩師の四男と結婚した。しかしその後、手首のケガなどで参加機会が減り、同時に華々しい活躍もなく、“ピンクパンサー”の名も忘れさられ…。
また永久シード権を獲得している森口裕子(53=ゴールドウイン)、塩谷育代(46=伊藤園)藤井かすみ(41=スポーツビズ)らも結婚した後もツアーに参戦しているが、主婦業や子育てなどの問題もあって出場機会は徐々に減り、活躍の場面が少なくなっている。
森口は、ツアー3年目の73年のワールドレディースで初優勝、94年までに43勝を上げているが、40歳を過ぎた頃から過労から来る体調不良でツアー参戦が大幅に減少。06年には2試合、昨年はついに未参戦だった。
塩谷は現在、2児のママさんプレーヤーだが、育児期間(約5年)後の01年から03年まで3回優勝するなど頑張っている。賞金女王に2度、ツアーなど21度優勝の経験者だ。
その意味では、結婚後も活躍する希少なプレーヤーとして人気があるが、最近では上位に名を連ねることはなかなかない。
新しいところでは、宮里藍とペアを組んで「第1回ワールドカップ」の世界一になった北里瑠衣(27)も06年に結婚、奥さんプロゴルファーになっている。しかし、近年は故障などでシード権落ちするなど不調が続く。
女子ゴルファーと結婚について、ベテランのゴルフジャーナリストはこう解説する。
「男子ゴルファーは、結婚した翌シーズンに成績を上げる選手が多い。食生活を含めた充実した家庭形成がメリットとして現れているんでしょうね。しかし女子は結婚後のシーズンで成績がよくなった顕著な例はほとんどない。塩谷育代が頑張っている以外、目立ちません。“結婚効果”はまだ見られないということです」。
服部は「今後のツアーについては(夫)と相談して決めます」というが、さて。
◆服部道子(はっとりみちこ)1968年(昭43)9月8日、愛知県日進市生まれ。11歳からゴルフを始めた元祖天才少女。淑徳高から米テキサス大に進学、85年全米女子アマに日本人として初優勝。91年プロテスト1位合格。93年ミズノオープンで初優勝。98年は5勝を挙げ初の賞金女王。ツアー通算18勝。今季は現在賞金ランキング63位。168センチ、59キロ。