そんな声をよそに悠然と構える横綱白鵬(31)。あと「13」で魁皇、千代の富士に次いで史上3人目の通算勝利数1000勝の大台に到達する。
「名古屋場所(7月10日初日)で1000勝を見せることができれば、自然と天皇賜杯も手に入る。気合いは入ります」
そう話しているが、稽古ぶりは実にマイペース。
「6月29日から名古屋での稽古を開始したんですが、わんぱく相撲の少年に胸を貸すなど、余裕たっぷり。先場所、稀勢の里を破って優勝した際、『(オレを倒すには)相撲だけ努力してもダメ、子供たちに相撲のアドバイスをするとか、そういう細かいことも大事にしないと』と話していましたが、まるでそれを地でいくような稽古ぶりです」(担当記者)
とはいえ、胸を張ってばかりはいられない。年々、土俵上での態度が悪くなり、たびたび指摘を受けているのを関係者もファンも忘れてはいない。春場所、勝負がついたあと、嘉風を土俵下に投げ落とし、下敷きになった井筒審判長(元関脇逆鉾)が左足の骨を折る重傷を負って審判部から厳重注意を受けたばかりだが、先場所も懲りずにダメ押しを連発。6日目の朝、部屋に稽古へ行く前に友綱審判部副部長(元関脇魁輝)のもとを訪れて、
「(これからは)意識してやっていかないといけないですね」
と謝罪した。しかし、春場所で井筒副部長が負傷したとき、審判部内からは、
「白鵬は確信犯。出場停止処分にすべきだ」
という厳しい声も上がっていただけに、もし今度やったら、とても頭を下げるだけではすまないだろう。
「土俵際でバーンとやるのは反対しない。もっと派手にやればいい」
6月28日、名古屋市役所を表敬訪問したとき、河村たかし市長に、こう悪魔の誘惑を受けた白鵬。
「もうダメ押しはやらないと言いましたから」と苦笑いするばかりだったが、果たして大横綱らしからぬ悪癖は修正されるのか。
ダメ押しだけではない。先場所は豪栄道に悪名高いカチあげで顎の骨を骨折させている。白鵬にとって今度の場所は、勝ち星だけでなく、相撲内容も厳しくチェックされる場所になる。
白鵬は力士を破壊する破孔砲か?