しかし、人身事故や線路内に人が立ち入ったなどの理由で、運行が止まってしまうこともある。そうなると交通網は大混乱。乗務員や駅員は客の対応に追われることになる。人身事故などによる電車の運行ストップは、これら職員にとっても最悪の事態なのである。
そんな運転見合わせ時に醜態を晒した高齢者が、世間から失笑を買う事件が2017年に発生している。舞台となったのは京都市東山区の地下鉄東西線三条京阪駅。75歳無職の男が、停電のため約2時間運転見合わせとなっていた帰宅時間帯の午後9時5分頃、改札口の駅員に振替輸送について質問する。
すると、なぜか男は激昂し、駅の案内用に設置されていたタブレット端末を駅員の顔に投げつけた。駅員は額を切る怪我を負い、通報。男は傷害容疑で現行犯逮捕された。なお、男は酒を飲んでいたという。
取り調べに対し、男は「電車の遅延や駅員の態度に腹を立ててやった」などと容疑を認める。ただし、「故意にやったわけではない」とも話した。当時の状況を考えると、故意ではなかったとしても、衝動的に怒りを感じタブレット端末をぶつけたことは明白。罪を免れることはできないだろう。
「人身事故や電車遅延時に文句を言ってくる人は多いですよ。クレームを言いたくなる気持ちはわかりますが、我々に言われても困るんです…。
食って掛かって来る人は大概、中高年。『私は客や』という感じで怒りをぶつけてきますよ。そんな人間にトラウマを抱えている職員も多いですよ。
怒りたくなるのはわかりますが、じっと運転再開を待つか、速やかに振替輸送を利用してもらいたいです」(鉄道会社勤務A氏)
正当なクレームもあるのだろうが、タブレットを投げつけるのは犯罪。中高年がそれを理解できないとは、嘆かわしいの一言だ。