まず、景勝地の顔だけではないスポット。
例えば南紀白浜のS壁は、高さ50〜60メートルの絶壁が見事だが、いっぽうで、眼下の海の水流が激しく死体は浮かび上がらない、知る人ぞ知るそのテの名所だ。NPOのスタッフが、怪しい人には声をかける。
それから、静岡県のN浦。有名な秘宝館の近くという若干脱力するロケーションながら、志願者にとって思わず飛びたい衝動に駆られる怖いスポット。
熊本のA大橋。何と高さは100メートル。その高さからか安心して飛び降りる人が続発したため、2メートルの防護柵と“まてまて地蔵”が、その警戒に当たる。
それから、建物自体が自殺スポットになっている例。
都内には、最近最も有名なHが丘団地ほか、江東区のO団地なども年間に何人もの人が飛び降りて死ぬ。関係者も見て見ぬふりをするよりない状況なのである。
さて、古いアカデミックな低層階の建物で本来70〜80センチほどの柵しかない造りなのに、全面ガチガチに不自然な鉄格子がはめてあったら、そこから何人かの自殺者が出た可能性が高い。
過去の取材からは、仮にそれが大学の校舎の場合、過去に飛び降り自殺者がいた確率は100%だ。
誰もそんな話聞いたことがない、という結論に至ったときは、学生も教授も入れ替わるからいったん悲惨な死者が忘れられているだけの話である。