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ついにヤケクソ値上げ! 大迷走するマクドナルドの断末魔

 厳しい経営を強いられている日本マクドナルドが10月末からメニューを刷新した。サラ・カサノバ社長は記者会見で「実験店では好評だった。全ての消費者に満足してもらえる」と胸を張ったが、市場関係者は冷ややかだ。
 「実質的な値上げは、当然ながらリスクが大きい。それでなくてもマックは期限切れ鶏肉問題を機に顧客離れが止まらない。このままだと野垂れ死にしかねないとの危機感を抱いたカサノバ社長による、一世一代の大バクチと言っても過言ではありません」

 メニュー刷新のポイントは大きく二つある。一つは平日の昼間に最低350円から提供し、昼食需要を取り込んできた『昼マック』(他に450円、550円)を廃止、新たに『おてごろマック』を販売したことだ。こちらは曜日や時間帯を問わず、『エッグチーズバーガー』など3種類のハンバーガーを単品200円、セットならば500円で提供する。昨年10月に鳴り物入りで投入した昼マックの後継という位置付けだが、350円や450円の昼マックファンにとっては「わずか1年で撤退したこと自体が値上げの方便。それほど経営が厳しいのか」としか映らない。
 もう一つのポイントは2007年に導入した都心や郊外など、店舗の立地で全国を9つに分けていた“価格”を統一したことだ(一部の特殊店舗を除く)。商品や店舗で価格の上げ下げが生じるが、売上高を0.9%押し上げる効果が見込まれており、これまた実質的な値上げ攻勢に他ならない。
 「消費者は値上げに対して敏感に反応する。その好例が牛丼業界で、値上げした途端に客足が遠のいた。苦肉の策で各社は先ごろ、期間限定とはいえ値下げを余儀なくされたばかりです。そんな事情を先刻承知しているマックが、ついに値上げカードを切った。状況がいよいよ切迫してきたことを意味します」(証券アナリスト)

 マックが8月に発表した6月中間決算は262億円の最終赤字となり、'01年に上場して以来最大の赤字幅だった。既存店売上高は8月に前年比2.8%増となり、19カ月ぶりでプラスに転じたとはいえ、9月には再びマイナスに転落した。客数に至っては9月まで実に29カ月連続で前年割れが続いている。要するに相次ぐスキャンダルを機に束となって逃げ出した顧客の大半が、今や“永別”を決め込んだままなのだ。
 「そこで新メニューを起爆剤に新たな顧客を呼び込む作戦なのです。とはいえども、カサノバ社長にしても効果については半信半疑でしょう。ただ、手をこまねいていたのではジリ貧地獄から抜け出せない。再建請負人として送り込まれた彼女が『このままだと詰め腹辞任に追い込まれる』と悲壮感に駆られたとしても不思議ではありません」(前出・市場関係者)

 カサノバ社長は日本マクドナルドの執行役員(マーケティング本部長)、マレーシア・シンガポール法人のリージョナルマネージャーなどを経て'13年8月に事業会社、日本マクドナルドの社長兼CEOに就任。翌'14年3月に日本マクドナルドホールディングス(HD)の社長兼CEOに就いた経歴を持つ。ところがHDは'14年12月期で218億円の最終赤字に塗れ、一部から「社長の力量に疑問」との声が噴出した。今年12月期には380億円の最終赤字を見込んでおり、迷走に拍車が掛かる。これではカサノバ社長が首筋にヒヤリと冷たいものを意識しないわけがない。
 「マックは売上高の3%をロイヤルティーとして米本社に支払う義務がある。ところが去年は業績不振から一時的に減免された。今期の業績は去年よりも悪くなる予想だから、再び支援を要請するのは必至。米本社の覚えを少しでも良くしようと思えば、カサノバ社長ならずとも顧客獲得=業績回復に向けて何らかのアリバイ工作に走る。メニュー刷新の狙いはこれに尽きます」(マック・ウオッチャー)

 実は米国本社も内情は火のクルマで、今年3月にはCEOが交代したばかり。揚げ句に世界全体の組織見直しに着手し、フランチャイズ(FC)率を現在の81%から90%に高める計画である。前出の証券アナリストは辛辣だ。
 「FC化すれば本部にはロイヤルティーが入る。米本社がFC化を急ぐのは安定収入が欲しいから。これぞ危機感の裏返しです。その本社にロイヤルティーを減免してほしいと泣きつけば、どんな仕打ちが待っているかは明らかです」

 FC化率が約70%の日本マクドナルドは、米本社に倣って比率を高めようとする。顧客離れが止まらない中、これがFCオーナーを窮地に追い詰めるのは間違いない。
 米国本社はもちろん、日本のマックからも“賞味期限切れ”に向け、不吉なカウントダウンが聞こえてきたようだ。

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