まず絵本作家としてデビューするには、主に2つのパターンがある。1つは絵本コンテストで受賞し、単行本化された作品が世に出るケース。もう1つは、SNS上に絵を投稿したりするなど地道に努力を重ね、出版社の編集者に自分の絵を気に入ってもらい作品化してもらうケースだ。
基本的には事務所に所属しないフリーランスの絵本作家が多く、収入は主に出版社からの原稿料と印税の2種類。原稿料は1ページにつき、または1つの企画に対して支払われる。その金額は、出版会社・企画内容・文章量・絵本作家の人気度で異なり、数千円から数万円とかなりの幅がある。印税は小説などと同じく著作権使用料のことを指しており、多くの出版社は売り上げ部数を正確に把握できる発行印税という形式をとっている。支払われる発行印税は10%が通例だが、新人作家や人気作家によっても変動があるようだ。新人の場合、2000部から3000部売れたらいい方で、売れても年収100万円から200万円以内が相場とされている。
今や売れっ子絵本作家となったヨシタケシンスケ氏も、デビューは遅く40歳だった。ヨシタケ氏は「文春オンライン」のインタビューの中で、絵本作家デビューの前にイラスト集を何冊か出したが、どれも全く売れなかったと語っている。イラストレーターとして既に生計を立てていたヨシタケ氏でも売れないプレッシャーに怯えながら絵本作家となったという。
また、苦労してデビューしたとしても、続かない実情もあるようだ。「マイナビニュース」が元絵本作家に行ったインタビューによると、絵本の世界は「(売れる)部数がとにかく少ない」と他ジャンルとの根本的な違いを語り、「基本的には絵本一本で食べていくのは一握りの作家さんだけです」「売れっ子絵本作家になるのは本当に狭き門」とリアルな実情を告白。短期間で爆発的に売れる絵本もなくはないが、「国産の絵本で100万部や200万部売れているのはほとんどがロングセラー」と知名度の低い作家が成功する可能性は薄いことを示唆した。
さらに、絵本作家のほとんどは売れるまでに時間がかかっているという。“画力がある”“文章力がある”という要素よりも、名の知れた有名人の方が圧倒的に有利に働くということだろう。収益を上げる目的で副業をするのに絵本作家は不向きと言えそうだ。