新喜劇といえば、濃いキャラクターや、コテコテのギャグ、大胆なコケなどの多くのお約束が用意された喜劇の王道というべき存在である。だが、知名度は東西で大きく異なる。それにはテレビ放送が影響しているようだ。
「西日本では、1962(昭和37)年から土曜日の午後に『よしもと新喜劇』がテレビで放送されています。番組は近畿圏のほかにも、名古屋中京圏、中国地方、四国地方、九州地方でも放送されており、子どもたちにとっては午前中の学校から戻ってきてから、吉本新喜劇を見るスタイルが定着しており、登場人物やギャグを覚えてしまうのです。東京でも一時期放送されていましたが、番組を関東向けにアレンジしたことからコアな視聴者から不評を買い、現在は放送されていません」(放送作家)
吉本新喜劇には多くの芸人が出入りする。現在、テレビで活躍するあの芸人たちも新喜劇に在籍経験がある。
「ナインティナインの岡村隆史は新人時代に、吉本新喜劇にいました。動けるチビのキャラクターは新喜劇向きといえますが、そのことが先輩座員から妬まれ、いじめを受けたとテレビ番組で告白していますね。博多華丸・大吉も、福岡にいた新人時代に、新喜劇の地方巡業に帯同しました。健康ランドに泊まり込み、師匠たちの身の回りの世話をしていました」(前出・同)
吉本新喜劇の上下関係は絶対である。ある意味では芸人の世界の厳しさをもっとも体現した場所ともいえるかもしれない。