「中日も今オフの主役とも言っていい、金子千尋(30=オリックス)の獲得に参戦します。社会人時代のトヨタの後輩に当たる吉見(一起=30)もおり、この件で一歩リードしている巨人を巻き返せると中日首脳陣は見ています」(ベテラン記者)
交渉には落合GMが当たる予定だ。同GMは、昨年オフにチーム総年俸を約8億円も減らしたように、交渉の巧さでは右に出る者はいない。FA補強には心強い話だが、その軍資金が必要になるため、今季のチーム功労者が割を食うことになりそうだというのだ。
「国内FA権を取得した山井(大介=36)をどうするのか? 慰留させるなら、昇給、複数年契約を約束してやらないと…」(地元関係者)
山井はFAについて聞かれると、「まずは球団の話を聞いてから」と答えている。そんな含みのある物言いから、「行使する可能性も高い」と見られているが、実はシーズンを終了したいまも(12日時点)、中日側から交渉のアクションは受けていないという。
「開幕から先発ローテーションを守ったのは山井だけ。プロ13年目で最多勝(13勝)、最高勝率の二冠を達成しています」(前出関係者)
山井の今季推定年俸は6000万円。山井の孤軍奮闘がなければ、チームは最下位転落もあり得る状況だった。そんな主力に対して放置プレーという状況はおかしいが、それも落合GMの交渉の戦術らしい。
「昇給提示はされるでしょう。でも、山井が求めているのは複数年契約で、落合GMは来季37歳という年齢的理由から単年提示で押し通すつもり」(前出記者)
落合GMは金子との交渉で、近年のその安定した成績を評価したことを伝えるつもりだ。それは昨季、5勝しか挙げていない山井に対する間接的な批判ともなる。作為的なマイナス査定はしないが、それでも納得できないのなら、権利行使せよというメッセージだ。
「白井オーナーは補強費に糸目を付けないと言いましたが、成績を上げた自軍選手の昇給については明言していません。Bクラス低迷を名目に微増の昇給しかされなかったら、外部からいくら選手を獲っても、チームのモチベーションは上がりません」(同)
山井には、阪神など食指を動かしているとの情報もある。金子争奪戦に敗れたチームも山井にラブコールを送るだろう。落合GMの主張は間違っていないが、巧みな交渉話術だけでは谷繁体制を盛り立てることはできない。