八百長発覚を受け、それこそ総力をあげて調査を行い慎重に処分を行ったはずの相撲協会は、どうして敗訴したのか。
「八百長というのはあってはならないことですからね。当時の放駒理事長以下、協会首脳はそれが発覚したことでカーッと頭に血が上り、疑わしき者は何が何でも処分し、1日も早く忌まわしき事件を幕引きしようと突っ走り過ぎたんですよ。八百長に関わったと認定され、処分されたのは25人。その中で、首謀者の元春日錦の八百長メールに名前があったのは13人で、残りの12人は信憑性のない供述だけで処分された。恩和図布新氏もその1人で、やっていないと主張してもまったく聞き入れられなかった。まったくの証拠不十分で、当然の結果です」(担当記者)
判決を受けた相撲協会の対応も実にあっさりしたものだった。まるで、事前にこうなることがわかってでもいたかのように、なんとその日のうちに判定を覆すだけの証拠は乏しいとして控訴断念を打ち出したのだ。
「公益財団法人への移行期限が11月末に迫る中、勝ち目の薄い裁判を長引かせるのは得策でない、という判断が働いたこともありますが、最も大きいのは放駒前理事長に対する反発。前理事長は文科省の顔色をうかがい、外部理事らの協力を仰いで大量処分を強行したんです。すでに当時から関与を否定しているのに処分していいのか、という批判が親方たちの間にあったのは事実。その1人が北の湖現理事長で、判決後、強く批判し、なんで放駒の尻拭いをオレがしなくちゃいけないんだ、という気持ちを露わにしています」(協会関係者)
大相撲界が一枚岩になるのはまだまだ先だ。