これまで中国企業といえば広大な国土と安い人件費を活かした格安路線で攻勢を仕掛けてきた。パソコンや家電製品で中国製が多く見受けられる中、ついにソフト面でも中国企業の日本進出が始まった。
ラオックスは創業80年近くの歴史を持つ、秋葉原では老舗中の老舗。業界の競争激化により8期連続の最終赤字が続き、経営難に陥っていた。対して蘇寧電器は中国で850店以上の店舗を運営する。中国企業が日本の上場流通企業を傘下に収めるのは初めてとなる。
25日に行われた両社の記者会見で、蘇寧電器の孫為民総裁は「共同仕入れや売れ筋商品の提携でラオックスの黒字化を目指す。日本の流行品をラオックスの流通を通じて中国に紹介していきたい」と説明。ラオックスの山下巌社長は「蘇寧電器の内部情報システムや物流サービスを学びたい。ラオックスからは80年余りの販売方法やノウハウを提供できると思っている」と語った。
しかし、満面の笑みの孫総裁に対し、山下社長の表情はどこか寂しげ。この提携を「蘇寧社の日本進出の足がかり」(経済誌記者)とみる意見もある。孫総裁は会見の最後に「ラオックスはこれからも変わらず日本の会社であります」と付け加えた。