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高相被告保釈 意外な平和ムード

 16日午後5時すぎ警視庁渋谷署前は騒然となった。8月3日の逮捕から45日目。覚せい剤取締法違反で起訴された酒井法子被告(38)の夫で同法違反罪(所持、使用)で起訴された高相祐一被告(41)が保釈された。見物人から靴が投げつけられる騒動があったものの、総じて平和ムード。この日夜のニュースでも高相保釈の扱い時間は短く、期せずして「鳩山内閣発足」に話題を“奪わせる”ことに成功したようだ。

 キャップにグレーのジャケット、シャツ、黒いズボン、革手袋を着用した姿で現れた高相被告は帽子を脱ぎ一礼し、「今回の件に関してはすべて私の責任であり、自分が悪いと思っています。みなさんにご迷惑と不愉快な思いをさせてすみませんでした」と謝罪した。
 深々と頭を下げると報道陣の問いかけには一切応じず、用意されたシルバーのワンボックス車に乗り込んだ。
 東京地裁が覚せい剤取締法違反(所持、使用)罪で起訴された高相被告の保釈を認める決定を下したのが前日の9月15日。早朝から多くの報道陣が警視庁渋谷署前に集まっていた。なかには追跡用のバイクや車を用意している報道機関もあり、湾岸署同様すごい騒ぎだ。
 とはいえ酒井被告の連日の保釈騒動もあり「本当に今日出てくるのか?」とほとんどの報道陣は懐疑的。お菓子や弁当を食べたり新聞を読んだりのんびりしたものだ。なかには「酒井法子のほうへ行きたかった」「ここまで大騒ぎするほどのことじゃないだろ」との愚痴も聞こえてくる。

 そんな報道陣が色めき立ったのは午後3時半過ぎ。保釈金の500万円が納付されたとの情報が入ってからだ。やがてカメラマンの陣取りで怒号が飛び交った。午後4時30分過ぎシルバーのワンボックス車が渋谷署に入る。10分後4、50人の警官が警備のため現れ規制線を張った。報道陣に緊張が走る。
 周囲を見渡すと渋谷署近くの歩道橋には多くの人だかり。報道陣の周囲にも見物人が集まりその数は数百人規模に。隣にいたマスコミ関係者が「何があるのかわかってるのかな?」とつぶやく。見物人からも「そんなにすごいことなの?」との声。しかしそんな声とはうらはらに報道はますます過熱していく。
 そして午後5時すぎ高相被告の姿が見えると過熱ぶりはピークに。謝罪し頭を下げた後、「酒井さんに(覚せい剤を)すすめたことをどう思っているのか」「一人の女優の芸能生命を奪ったことをどう思ってるのか」との報道陣の質問には応じず車に乗り込んだ。見物人が車へ靴を投げつける騒ぎがあったものの、なかには「高相がんばれ!」「家族を守ってやれよ」と声をかける人も。
 「まるでお祭りね」「たかがのりぴーの旦那でしょ?」。マスコミの過熱ぶりの一方で見物人は冷静な意見が大半。帰宅途中の女子高校生2人は「今日鳩山さんが総理大臣になるんでしょ」「そっちのほうが大きく出るんじゃない。意味ないじゃん」と話していた。
 酒井被告がなかなか保釈されない理由のひとつとして、この日の鳩山内閣発足にマスコミの取材を集中させるため、との見方があったが、期せずしてこちらはその作戦(?)がハマったようだ。

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