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巨人が会社案内書で自己ピーアール!

 原巨人が『会社案内書』を発行した。表紙に書かれているタイトルは「だから、巨人。」−−。巨人のスカウトマンたちがドラフト候補生を抱える高校、大学、企業関係者に配布しているのである。プロ野球チームが会社案内書を製作するのは、異例中の異例と言っていいだろう。

 「A4版で20ページくらいだったかな。全部カラーで、けっこう面白かったですよ」
 某社会人チーム指導者がそう言う。こちらから「見せてくれ」と頼んでみたが、「別に止められたわけではないが、今回は…」と断られてしまった。しかし、別の大学関係者によれば、清武英利・球団代表の言葉として、近年、育成枠選手が一軍で活躍した実績と選手育成ビジョン、施設紹介、チーム展望が“会社紹介”的に語られ、球団の歴史(伝統)、編成方針、これまでの社会貢献事業などが記されていたという。

 「巨人の全スカウトマンが顔写真付きで紹介されているのが良いですね。自称関係者、自称スカウトに騙されそうになったアマチュア指導者、ドラフト候補生も過去にはいましたので。こういう小冊子があると、教え子を送り出す側としては有り難いですね」(大学野球指導者の1人)
 大学生が説明会で貰う『会社案内書』のようなものだろう。
 意外だが、スカウトマンが「身元を明かす」のは非常に重要だという。同指導者の言うように、アマチュア野球界には『自称関係者』もウロウロしている。たとえば、「おたくのエースを評価している。指名するかしないかのギリギリのところにいるが、ワタシが何とかするので…」と怪しげな勧誘をするケースが本当にあったのだそうだ。また、スカウトマンは基本的に“秘密行動”である。他球団にお目当ての選手を悟られないためだが、アマチュア指導者は全球団のスカウトの顔と名前を知っているわけではない。なかには名刺を渡さないスカウトもいて、仮に正規のプロ野球球団在籍者だとしても、アマチュア指導者側は身構えてしまうというのだ。

 こういった現場の事情を聞けば、巨人の『会社案内書』は、意義があるようだ。
 「巨人サンが会社案内書を配ってるって? 数年前からじゃないかな。今年に入ってから、もっと中身の濃い改訂版を出したとは聞いていましたが。どの球団も大変ですからね」
 ライバル球団の中堅スカウトがそう言う。
 ドラフトが“逆指名制”だったころ、巨人は潤沢な資金力を武器に一人勝ちしていた。しかし、FAで他球団の主力選手もかき集めた代償で、「巨人に行っても出場チャンスがない」と、現実的な選択をするドラフト候補生も増えてきた。テレビ中継もなくなり、巨人も「12球団の1つ」と化したわけだが、近年の選手育成の実績を示すことで、アマチュア球界側の信頼を取り戻そうと努力しているのだ。それは素直に認めるとして、こんな指摘も聞かれた。

 「今、最強のスカウトは大学ですよ。とくにW大学。親御さんにしてみれば、子供に学歴を付けたいと思うのは当然じゃないですか。近頃では、プロ野球を断って進学した甲子園球児も多いんですよ」(前出・同)
 「巨人しか行かない」という選手は、長野久義が最後ではないだろうか。だが、伝統球団である人がアマチュア球界側に誠意を示そうとしている点は、他球団も見習うべきである。今のところ、この会社案内書を見て、「巨人に行きたいと思った」と話すドラフト候補生はいないが…。

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