愛知県名古屋市教育委員会は3月28日、女子高生に唾を吐きかけたとして、市立小学校の男性教諭(44)を戒告の懲戒処分にしたと発表した。
市教委によると、教諭は昨年12月16日、同市千種区の地下鉄ホームで、電車を待つ女子高生の後ろから唾を吐きかけた。教諭はこの女子高生にこれまでも2回、唾を吐きかけていた。県警の取り調べを受けた教諭は、今年1月に暴行容疑で書類送検され、2月に名古屋簡裁から罰金10万円の略式命令を受けて納付した。
教諭は「ストレスがたまると唾を吐きかけたくなった」と、その理由を話し、地下鉄以外でも歩道などで、男女を問わず唾を吐きかけていた。教諭によると2年ほど前から、50人ぐらいに唾を吐きかけたという。
教諭は昨年12月末から学校を休んでおり、「強迫性障害」と診断されたという。聞き慣れない病名だが、精神疾患の一つで、強迫観念と強迫行為の両方からなる症状で、強迫症状はストレスにより悪化する傾向にある。強迫観念は不快感や不安感を生じさせる観念で、強迫行為は不快な存在である強迫観念を打ち消したり、振り払うための行為。周囲から見て全く理解不能な行動でも、患者自身には何らかの意味付けが生じている場合が多い。人に唾を吐きかけるのも、教諭にとっては意味ある行動だったのだろうか。
「唾くれおじさん」には懲役10月、執行猶予4年の有罪判決が下ったが、「唾吐き教諭」は書類送検と罰金のみ。「唾吐き」は実害もあり、精神的な被害も大きいが、精神疾患が考慮されて、軽い処分になったのだろうか…。
(蔵元英二)