Aさんの場合、身長16センチ、体重75キロと太目の体型だ。医者からはメタボと診断され、体重減を進言されていた。
本来は食事制限が必要なのだが、ここにメスを入れるとストレスが溜まる。そこで発想の転換をしようと、とにかく運動だけをやろうと考えたAさん。週2回、40キロのサイクリングを1年半続けて、体重を65キロに。10キロの減量に成功した。
「自転車に乗ることを生活の中心に捉えたのがよかった。そんな気持ちが強かったせいか、初めて“休肝日”を設けることができました。酒を飲まなければ、つまみの量も減り、おのずと食事のカロリーが落ちます。さらに運動でのカロリー消費が重なって体重を落とすこともできました」(Aさん)
それまで毎日ビールを飲み、焼酎3合は飲んでいたが朝、酒が残っていると、息苦しく自転車に乗ることが出来ない。「とにかく乗る」という一心で、週2回の休肝日を確保したという。
「お陰様で、今は飲むときは飲みたいだけ飲み、食べるときは食べたいだけ食べて食事制限はしていません。食べたら自転車で“カロリーを消費すればいい”くらいの気持ちでいます」
とAさんは自信に満ちた笑顔を浮かべる。
またBさんも、生活習慣病を指摘され、一念発起で始めたジョギングで体質が大幅に改善するまでにこぎ着けた。
「始めて約1年ですね。最初は距離や時間を決めず、マイペースで走った。それでも疲れるから、走るのは週2回だけ。体力に合わせながら、距離と時間を延ばし、今は1時間に10キロくらい走っています」(Bさん)
Aさんも、Bさんも共通しているのは、「仕事とプライベートを両立させながら運動するには週2日が限界。毎日やらなくても、その日にしっかり運動すれば十分」ということだ。
ここでも「無理のある強い運動は不要」とし、自分のリズムに合った運動を楽しく、続けることの大切さが認識できるのではないだろうか。
しかし、周囲に「もっと運動したらどうか」とけしかけられ、“その気に”なったのはいいが、血圧や血糖値などが高い人は自覚と注意が肝要だ。「心筋梗塞」「脳梗塞」のリスクが高く、自己流の運動は、かえって命に関わる可能性があるといわれる。理学療法士など、専門家のアドバイスを参考にした運動を行うべきだ。
'07年、メタボ解消のためジョギングしていた男性(当時47歳)は、急性虚血性疾患で突然死。タレントの松村邦洋(同41)も'09年、東京マラソンに出場中に急性心筋梗塞を起こし、危ういところを救われた。
また、強健なアスリートでも、激しい練習中の“突然死”が多い。今年4月、水泳の北島康介選手の最大のライバル、アレクサンドル・ダーレオーエン選手(当時26)が心不全で急死した。サッカーでは2011年、元日本代表の松田直樹選手(当時34)が練習中に倒れ突然死するなど悲劇の例は決して少なくない。
いずれにせよ、ジョギングなど運動をする前のウオームアップは重要で、決して無理をしない事である。