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事故数は減少でも自転車罰金制度スタートの裏にチラつく警察権利

 6月1日から道路交通法が改正され、自転車を対象に信号無視、酒酔い運転、スマホの“ながら運転”、車道の逆走や一時停止違反など14項目が罰則の対象になった。「車両のようで車両でない、歩行者のようで歩行者でない」扱いだった自転車が、ハッキリ「車両」と認定されたのだ。

 改正法では、14歳以上の運転者が違反キップによる取り締まりを3年以内に2回以上受けた場合、自動車と同じような安全講習の受講(3時間:5700円)が義務化され、この講習を受けないと5万円以下の罰金が科せられる。危険極まりないスピードで狭い道を駆ける“暴走自転車”に対してだけでなく、エコ節約志向から常用を始めた人たちや「ちょっとそこまで」の利用者からすれば、この改正法はとても歓迎できる新制度とはいえない。
 「自転車の危険運転によって、被害者から高額な賠償を請求されるなどの事例が数多く報道されました。これを機に『自転車の危険運転がマナーの問題というのでは手ぬるい。警察はもっと規制すべき』という機運が盛り上がった。マスコミは警察の世論喚起に、まんまと利用されたのです」(交通ジャーナリスト)

 実際は自転車の事故数は減少している。2009年に73万7628件あった全国の自転車事故件数は、'13年までに10万件以上減っている。ところが検挙件数だけは急増した。毎年300件程度で推移していた検挙件数は'06年から増え始め、'14年は8000件超にまで急増しているのだ。
 今回の改正法に照らせば、仮に雨の日に傘差し自転車の通勤者を狙い撃ちにしようと思えば、確実に“大量検挙”できることにもなりかねない。
 「将来、原付自転車の『反則金』のように、警察官の違反現認だけで切符が切られるようになるでしょう。“金さえ払えば見逃してやる”という性質の反則金は自治体交付ですから、一部は警察組織の利権になる。次に民間法人に委託されている現行の『駐車監視員』のような“自転車監視員”が創設されるという流れになるでしょう。また、交通安全協会の『自転車版』のようなものが設立され、そこが警察組織の新たな天下り先になる可能性も見逃せません」(同)

 今後、自転車に乗ることを控える人が増えそうだが、そのうち“マナーの悪い歩行者”も罰則の対象になる日が来るかもしれない。

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