原辰徳監督(51)が高橋由伸外野手(34)の『開幕スタメン』を示唆したのは21日のオープン戦後(対横浜)。この日のヨシノブは2試合連続となる本塁打を含め、3打数3安打と大当たりで、オープン戦の通算成績も4割8分3厘まで高めた。誰もが納得する復活ぶりだが、関係者の口ぶりは重い。
「4番を任せることになるかもしれない」
巨人打線は『重大な危機』に直面していた。本来なら4番を任せるはずのラミレス(35)が重度のスランプに陥っていた。オープン戦の通算成績は1割7分4厘(同時点)。もともとスロースターターとはいえ、2年連続MVP、7年連続100打点の主砲としては、明らか物足らない数値だ。
前出のチーム関係者がこう言う。
「どうも、ラミレスの攻略法を見つけられたみたいだね。思い当たるフシもある…」
それは、昨年のクライマックスシリーズ第2ステージだという。中日との4試合でラミレスは17打数4安打と苦しんだ。そのときの中日バッテリーの配球が、「攻略法の下地となり、研究された」(同)と言うのである。
「ラミレスは選球眼がいい。しかし、外角球が見えるときと見えないときがあるんです。どういうケースで外角のボール球に手を出すのか、中日バッテリーがそのクセを見破ったみたい」(前出・同)
日本での10年目のシーズンを迎えるラミレスも「苦手コースを攻められている」のは分かっている。それを克服するため、バットの重量を変えるなど微調整に入っているが、昨季までの爆発的な活躍は期待できないだろう。そこで浮上してきたのが、『高橋の4番復活』である。
「今の巨人で4番タイプの主なバッターは、小笠原、李承、高橋、阿部。李承と高橋が一塁のレギュラー争いをしているわけだから、高橋が打撃好調となれば、李承のスタメン出場はない。首脳陣のなかには阿部を推す声もあるが、捕手としての負担を考えると、小笠原か高橋の2人から選ばざるを得ません」(前出・同)
高橋は選手会長を経験したチームリーダーでもある。近未来像として『4番・大田』も構想にはあるが、時期尚早。育成路線を掲げているため、「外様の小笠原より高橋」と考える首脳陣も多いという。ラミレスの不振が長引けば、原監督は高橋の4番返り咲きを決断する。このまま怪我もなく、順調に開幕戦を迎えてくれればいいのだが、その高橋も昨年9月に腰の手術を行っている。今年の巨人は『4番不在』という小粒打線でペナントレースを戦う緊急事態にもなりかねない。