この肝油を“海の帝王”シャチが、“海のギャング”と恐れられるホホジロザメを襲い、肝臓だけを食べているという衝撃的な科学レポートがこのほど報じられた。
「ホホジロザメは、映画『ジョーズ』のモデルとして登場し、実際『白い死神』と恐れられる魚類最強の捕食者です。映画『ジョーズ』では、その恐怖の予兆として腹を食いちぎられたシャチが海岸に打ち上げられるシーンが登場しますが、あり得ないことではないものの、まずないでしょうね。ホホジロザメがシャチをどれくらい恐れているのかというと、お気に入りの狩場ですらシャチが現れただけで、その場を放棄して、1年くらい怖くて帰ってこないことが報告されているほどです」(海洋サイエンスライター)
2017年、ホホジロザメの遺体が続けざまに発見されるという事件がニュースになったことがある。南アフリカ、ケープタウン近郊の浜辺に5頭のサメの遺体が打ち上げられたのだが、どの遺骸からも肝臓だけが消えていた。
その噛み跡から浮上した犯人はシャチだった。浜辺に打ち上がったホホジロザメの大きさは、体長4.8メートル、体重1100キログラムで、車に匹敵するほどの大きさと重量だった。とはいえシャチの体長は8〜10メートルで、大型のものなら体重5〜8トンほどにもなり、アフリカゾウと同レベルだ。ホホジロザメは最大で6メートルほどだから圧倒的にシャチの方が大きい。
「そもそもサメは魚類なので内臓を保護する肋骨がありません。シャチは哺乳類ですから肋骨が存在し、内臓がしっかり防御されています。サメは攻撃力はあるものの防御力ゼロですし、その上シャチは、マイルカ科ですから頭もよく、チームワークで捕食します。狙われたらひとたまりもありません」(同・ライター)
それにしても海のギャングの肝臓だけを食べるとは、海の帝王は案外グルメなのかもしれない。