世田谷井上病院の井上毅一理事長が言う。
「インフルエンザにはA、B、Cがありますが、ヒトで流行するインフルエンザウイルスには2種類のA型(H3N2、H1N1)とB型の計3種類がある。A香港(H3N2)には、小児や高齢者で重症化しやすく、大流行しやすいという特徴があります。感染すると、小児は熱性痙攣を起こしやすく、インフルエンザ脳症になることもある。一方の高齢者は肺炎を起こし、死亡することも珍しくないのです」
昨シーズン流行したA型のH1N1は、60歳以上の人には一定の免疫があり、かかりにくいとされる。しかし今回の場合は高齢者も感染しやすいというわけだ。
「このウイルスは変異しやすいため、過去の免疫が働かず感染力が極めて強く重症化しやすいのが特徴です。健康な人でもワクチンの効果は40%〜50%。つまり、100万人のうち50万人が予防接種のワクチンの効き目がなく発病の危険にさらされているということですが、それなりの効果はあるので打った方がいい」(厚労省関係者)
ちなみに米国の場合、今冬のインフルエンザワクチンは全年齢層での有効率が23%前後となっていることが米疾病対策センターの調査で明らかになっており、まずは日常生活の予防が大事になってくる。
「とにかく手洗い、うがいを心掛け、マスクは顎までして同じものを使い回さないこと。マスクをしていないときにクシャミをする場合は手で受けずに地面に向かってしてください」(前出・井上氏)
兆候が出たら即、病院へ。