A:昨年12月には中国の上海でPM2.5の大気中濃度が最悪のレベルに達し、そのため日本でも福岡や大分で高い数値が検出されました。
11月には千葉県で高い濃度が観測され、県内全域に外出を控えるよう注意喚起されましたが、これは中国とは関係がないようです。PM2.5は直径2.5ミクロン以下の非常に小さな粒子です。炭素成分、硝酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩の他、ケイ素、ナトリウム、アルミニウムなどの無機元素などが含まれます。
非常に小さいため、肺の奥深くにまで入り込みやすく、ぜんそくや気管支炎などの呼吸器系疾患や循環器系疾患などのリスクを上昇させると考えられます。この有害化学物質は、物が燃えることによって直接発生するし、さまざまな物質が大気中で化学反応することによってもできます。
●空気清浄機や高精度のマスクで対応
ご質問の方は、私が考案した口の体操「あいうべ」を実践して、口呼吸の癖が直り、本来の鼻呼吸が習慣になり、気管支喘息が改善したとのこと。ただし、鼻呼吸でPM2.5を防ぐことはできません。なにしろ超微小ですから。「あいうべ」は、「あー」「いー」「うー」「べー」とそれぞれ発声する、口のストレッチです。
PM2.5を吸い込むことで気管支喘息が再発する恐れはありますが、外出を控えるよう注意喚起がなされた場合、どのように対策すれば良いでしょうか。
注意喚起どおりに外出を控え、室内にいるのがベスト。外の空気を室内に入れないようにし、空気清浄機を活用しましょう。外出しなければならない場合は、マスクを用いますが、どんなマスクでも良いというわけではありません。
医療用や産業用の高性能な防じんマスク、つまり米国の規格に基づいて認定されたN95以上の規格のマスクや、日本の労働安全衛生法に基づく国家検定に合格したDS1以上の規格のマスクなら効果があります。
自治体から注意喚起がなされたら、以上のように対策すると良いでしょう。各地のPM2.5の濃度は、環境省のホームページなどで公表されています。
今井一彰氏(みらいクリニック院長)
山口大学医学部卒業。東洋医学などさまざまな医療を駆使し、薬を使わずに体を治していくという独自の観点に立って治療を行う。日本初の靴下外来も設置。