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全世界蔓延 抗生物質が効かない新型淋病で風俗界パニック寸前(1)

 6月6月、世界保健機構(WHO)が、性感染症の一つである淋病の変異株の感染が世界的に拡大していると警告した。この変異株は抗生物質が効かないというから非常に厄介だ。そして今回の発表が、風俗界にも波紋を呼んでいる−−。

 そもそも、この「新型淋病」の人への感染が発見されたのは昨年のこと。場所は日本だった。
 「京都府の風俗店で働く女性の喉から発見され、カナダのケベック州で開かれた国際性感染症研究会議で報告されたのです。『H041』と名付けられたこの菌が見つかったのは'09年。それまで人への感染は確認されていなかったのです。この『H041』は淋病治療に最も有効とされているセファロスポリン系の抗生物質が効かない。報告を行った研究者は当初から『感染が広がれば適切な治療法がない』と危惧していたのです」(医療ライター)

 とはいえ、淋病自体は最もポピュラーな性感染症の一つで、感染者も少なくない。
 世田谷井上病院の井上毅一理事長が言う。
 「男性の場合、2〜9日の潜伏期の後、排尿時の痛みや性器から膿が出るなどの症状がありますが、女性感染者は何の症状も出ない人も多い。しかし、炎症が広がり、不妊症や子宮外妊娠、慢性骨盤痛の原因となります。男性も2〜5%は症状がなく、放置しても大丈夫だろうと、利尿剤を飲むぐらいのいい加減な治療で済ます人も多いようです」

 京都の女性患者の場合は、マクロライド系の抗生物質『アジスロマイシン』という薬などが効果があったといい、劇的ではないにせよ抗生物質の適切な選び方で死者が出ることはないのかも知れない。しかし、WHOはこの新型淋病がオーストラリアやフランス、ノルウェー、スウェーデン、英国でも発見され、感染拡大が現実のものになっているという。
 前出の井上理事長が続ける。
 「かつて、淋病の治療には抗生物質としてペニシリンが使われていました。非常に効き目があり、一発で治った。しかし、その耐性菌が出現して、代わって使われるようになったのがニューキノロン系の抗生物質。ところが、それにも耐性菌が現れてセフェム系の『ロセフィン』という薬などが使われるようになった。要するに、イタチごっこだったわけです」

 そんな中、今回の新型淋病の世界的蔓延の危機に戦々恐々なのが、日本国内の風俗店だ。

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