細川は「放送に遅れてはいかん」と、急いで滞在先の千葉を出たが、高速道路はすべて通行止めになっており、車ではなく電車での移動を決行。なんとかNHKに到着し、20分遅れで新曲「冬嵐」をスタジオで披露した。この時の細川の出で立ちは、完全に私服と思われ、黒いジャンパーに黒いズボンという演歌の大御所らしからぬ恰好で熱唱した。その姿はネットで「放送事故」と大きな話題になった。
さて、生放送において、気象の関係のトラブル・放送事故は枚挙にいとまがないが、特に有名なのが、『笑っていいとも!』(フジテレビ系)に出演した女優・朝丘雪路の飛行機トラブルだろう。
1988年12月16日。朝丘は「テレフォンショッキング」に出演。ところが、この日、朝丘は石川県金沢市におり、大雪により飛行機が大幅に遅れてしまっていた。出演が不可能になった朝丘の代理で夫の津川雅彦の兄・長門裕之が登場し、スタジオでは終始朝丘とタモリが無線電話でやりとりする模様が放送されていた(パニックになった朝丘が「今、飛行機の上〜!」と大騒ぎした姿は今でも語り草になっている)。
なお、これは遅刻をギリギリ免れた例だが、番組末期の2014年、船橋のご当地キャラ「ふなっしー」が雪のために船橋から新宿まで3時間もかかってしまい、出演時間ギリギリに登場。いつもはハイテンションで動き回るふなっしーだが、この日は雪の移動で疲れてしまっていたのか、心なしかあまり元気がなかったという。
何が起こるかわからないのが生放送の醍醐味……ではあるが、気象トラブルは致し方ないものだ。
(文中敬称略)
文:穂積昭雪(山口敏太郎事務所)