櫻井といえば、現役ジャニーズの慶應ボーイ第1号。幼稚舎から大学まで慶應という筋金入りのお坊ちゃまだ。高学歴でトップアイドル。インテリジャニーズの開拓者だ。
嵐結成の1年前(98年)、まだ高校生だった時、元タッキー&翼・滝沢秀明さんを中心としたジャニーズJr.の人気が爆発した。ゴールデンタイムの番組『8時だJ』(テレビ朝日系)もスタート。櫻井と同世代の生田斗真や、のちに嵐となる相葉雅紀、松本潤、二宮和也らは、ひな壇の最前列だった。ところが、櫻井は最後列。歴然とした差があった。
そのころは、反抗期でもあった。高学歴であることも一つの理由となり、ほかの無邪気なJr.たちと相反して、斜に構えた兄貴ぶっていた。大学卒業後は一流企業への就職を考えていた反面、番組で大きな爪痕を残したいという矛盾も抱えていた。明らかに迷走していた。それを見抜いていたのが、番組司会者のヒロミだ。
「番組が始まって4か月が経った頃にはもう、Jr.それぞれのキャラクターが定まっていました。ある回で、『朝食は洋食か和食か』というトークテーマがあり、ヒロミさんは挙手するJr.の中から、いつものように滝沢さん、生田さんなどを当てましたが、後方の櫻井さんにも振ったのです。焦った櫻井さんは『えっとー、僕はどっちとも言えないんですけどー。と言いますのは……』と突然丁寧語を使い出し、キャラを乗せたのです」(アイドル雑誌のフリーライター)
この丁寧語キャラが、まさかのスマッシュヒット。翌週以降もヒロミは、「または」、「結果として」、「なぜならば」などを連発する櫻井を積極的に当て、バックアップした。
現在はキャスターとして発言に人一倍の注意を払っているため、『8時だJ』時代に会得した「と言いますのは」や「なぜならば」が普通に口をついて出る。そのルーツは、ヒロミ。芸能界の恩師の1人といっても言い過ぎではないだろう。
故・ジャニー喜多川元社長が育て上げた今のJr.は、8月8日、およそ19年ぶりとなる東京ドーム公演『ジャニーズJr. 8・8祭り 〜東京ドームから始まる〜』を成功させた。同公演に出演していた美 少年・那須雄登は、慶應義塾の現役高校生。櫻井の直の後輩だ。
令和元年は、第2期Jr.ブームの元年と言える。“櫻井Jr.”も生まれそうだ。
(伊藤由華)