また、幕内の取組にかかる懸賞も地方場所では史上最多の1400本を超える見込みだ。
再沸騰ともいうべきこの相撲人気を下支えしているのが、先場所の覇者で新大関の照ノ富士。しかし、急に多忙になり、ストレスも増えたせいで右足に蜂窩(ほうか)織炎という化膿性の炎症を発症。「ヤバイ、疲れからかな」と漏らす時期もあったが、名古屋入り後は連日、40番近い稽古をこなすなど、すっかり回復している。
「調子は普通。いつも通りだよ」と、ケロリとした顔で話し、出稽古した田子ノ浦部屋でも大関の先輩、稀勢の里に不得手の左四つで圧勝するなど、今場所も何かドデカイことをやってのけそうな雰囲気だった。
一方、こうした“台頭する新勢力”に異常なほど神経をとがらせているのが、35回目の優勝を狙っている横綱白鵬。先場所は終盤で失速し、照ノ富士に逆転優勝されたその胸中がどんなものだったか…。それは照ノ富士の援護射撃に燃える日馬富士に敗れ、支度部屋に引き揚げてからは唇をかみしめ、ひと言も発さなかったところによく出ていた。
先場所の負け数も3年ぶりとなる4。以前のようにぶっちぎりの優勝も少なくなり、周囲との差は着実に縮まってきている。どうやって勢いに乗る若手の猛追をはねのけ、先場所の悔しさを晴らすか−−。
「白鵬が照ノ富士らの台頭をかなり警戒しているのは確かでしょう。口では『もう先場所のことは忘れた。ここからまたエンジンをかけていく』と話していますが、場所前、田子ノ浦部屋に出稽古したときは、もう手の内は見せないと言わんばかりに大関稀勢の里だけと稽古。照ノ富士や先場所の初日にヤラれた逸ノ城らとの稽古は拒否し、一番ぐらいはやってほしかったと悔しがらせていました。ただ、今場所前も出稽古は2日間だけと相変わらず少なめ。これが、どう出るかが心配ですね」(担当記者)
白鵬は今場所で横綱在位48場所、曙と並んで歴代5位となる。「6年後の東京オリンピックまで現役で」というのが究極の目標だが、今の白鵬にはそんな遠くを見つめる余裕はない。