一夫多妻制は一人の男性が複数の女性を妻とすることを認める社会をいう。日本では、明治以降は一夫一妻制度が法律として定められているが、それ以前は上流階級の人間が男子の跡取りを産むために本妻以外の女性をむかえる側室制度があった。世界のほかの国や地域ではどうなのだろうか。
一夫多妻制度はイスラム教圏に広く浸透している。中東地域やアフリカ北部をはじめ、アジアでもインドネシアやパキスタンなどでは一夫多妻制が認められている。日本でタレントとして活躍するデヴィ夫人は、インドネシアの大統領であったスカルノに見初められ、第三夫人となった。このほかインドやマレーシアではイスラム教徒に限ってのみ一夫多妻制が認められている。さらに、ミャンマーやロシアのように、一夫多妻制は違法だが犯罪には問われない国もある。
イスラム教では聖典であるコーランに、男性は4人まで妻をめとることができると定められている。夫にはすべての夫人を平等に扱うことが求められ、差を作ることは許されていない。一夫多妻制が浸透した背景には、もともと戦争で夫をなくした夫人を経済力のある人間が養うことで社会を安定させる目的があったようだ。一夫多妻制を実行している人間は「単にモテモテ」というわけではなく、きちっとした責任感も求められるのだ。