鮮やかな復活劇だった。前走の安田記念はダービー以来、1年ぶりとなる白星。しかも、再び牡馬を蹴散らしてのVだった。「前走はウオッカらしい脚を使ってくれた。まさに完勝といえる内容だった」と前川助手。
その安田記念から4カ月。いよいよ女王が秋初戦を迎える。
態勢も盤石だ。今夏は栗東トレセンに残ってじっくりケイコを積んできた。手元に置いて調整してきた分、仕上がり面での狂いはまったくない。
「以前ならカイバがあがって、食べないような面があった。それが精神面で成長して、今は食いが落ちるようなところもない。本当、充実してきたよ」
一段とたくましさを増した女王が挑むのは過去、幾度も鮮烈な末脚を爆発させてきた東京。しかも、スピードがモノをいう開幕週の馬場、そして距離も“展開知らず”といわれる1800メートル戦…目標はまだ先だが、女王らしい走りを見せるための条件はそろった。
「東京コースは相性のいい舞台だし、何より力を出せる状態に仕上がっている。あとは豊さんに任せるだけ。秋初戦になるけど、ここでも日本を代表する牝馬の走りを期待したいね」
国内完全制圧へ。女王の秋がいよいよスタートする。
【最終追いVTR】武豊騎手を背に、坂路で追われた。時計のかかる馬場状態にもかかわらず、楽々と800メートル52秒台をマーク。順調に夏場を過ごしてきたのが、このひと追いで感じ取れる。久々だが、九分通り態勢は整っている。