8月5日に開幕するブラジル・リオデジャネイロ五輪の制作費が、当初の見積り額よりも5倍近くに跳ね上がってしまったのだ。
「本音を言えば、NHKを除く民放各局は、どこもリオ五輪中継に関わりたくないはず。なぜなら、サッカーW杯の3倍近くも支払うんですから。ちなみに金額ですが、'14年のソチオリンピックとリオを合計した額は約360億円。これをNHKや民放連で分担するんです」(テレビ関係者)
だが、今回のリオ五輪に関しては、莫大な放映権料に加え、ある部門の予算が突出してしまっているのだ。
「通常、オリンピック中継をやる場合、民放キー局は放映権料を別にして人件費、技術費や雑費などで約1億円を計上するんです。ところが、今回はなんと2〜3億円。しかも、絶対に削れないどころか、相手の言い値に従わざるを得ない部門であることから、局上層部も頭を抱えているんです」(芸能プロ関係者)
民放テレビ局がもはやコントロール不能と半ばさじを投げているのが、セキュリティー問題だ。
「ブラジルは、もはやギリシャ同様、破綻秒読み国。警察や消防など国家公務員の給料の遅配が続き、彼らがストで仕事を投げ出しているような状態なんです。実は、あえて日本のテレビ局は放送していないが、五輪が開催されるリオでは殺人や強盗などが頻発。銃撃戦などは日常茶飯事で、多くの警察官が殉職している。また、世界的に知られる貧民街『ファベーラ』がある。ここはマフィアの巣窟と言ってもいい。政府や市も簡単には手出しができないんです」(五輪関係者)
当然、命には代えられずセキュリティーに莫大な費用が掛かるという算段なのだ。そんな中、天下のNHKは莫大な制作費をチラつかせ、軍隊かと見間違えるような地元のボディーガード軍団を雇ったという。
「移動は対戦車地雷にも耐えうる20ミリの厚さを誇る軍用装甲車。1台に約8人ほどしか乗れないため、5台レンタルしたといいます。準備などを含め、約1カ月間で3億円にもなったそうです。民放関係者は指をくわえて眺めています」(同)
片や、民放キー局の規模といえば…。
「移動はやっぱり軍用装甲車になるが、こちらは旧式でヘタすれば機関銃の弾は貫通してしまうという代物。フル装備のボディーガードを3人も雇えれば御の字です」(前出・テレビ事情通)
さらにブラジルで社会問題になっている、蚊によるジカ熱対策にも想定外の費用が掛かるという。
「蚊対策の薬剤に予防接種、また、蚊が少ないところを選ぶとなると高級ホテルになってしまう。ところが、既にリオのホテルは満杯。仕方なく遠く離れた地方の宿を借り上げて通う局もある。危険が色々な意味で倍増するんです」(同)
某民放局幹部が心の内を吐露する。
「できれば今回のリオはNHKさんにすべてお任せしたい…。それが本音だ」
日本のテレビ局クルーの安全は保たれるのか!?