『第93回東京箱根間往復大学駅伝競走』(箱根駅伝)の往路、復路を制した優勝校・青山学院大学の原晋監督(49)はテレビのインタビューに、
「今回は“3”連覇に“3”冠、そして就任“9”年目、それらに“感謝する”という意味を込めて『サンキュー大作戦』としました。大成功です」
と、喜びを爆発させた。
これまでの根性とか伝統とか古めかしい言葉は一つとして出てこなかった。『箱根駅伝』の楽しみ方が変わったということだろう。
「同大学の原監督は往路スタートから数分後に判走車へ乗り込んだんですが、路上で応援する一般ファンが握手を求めると、ニッコリ笑って応じていました。その余裕に青学大のV3を確信した関係者は多かった」(取材記者)
近年の箱根駅伝は“見せる”要素が強くなってきた。
同駅伝を中継する日本テレビの往路ゲスト解説席に座ったのは、昨年、青学大の往路5区を激走して『3代目山の神』と称された神野大地(23、コニカミノルタ)だった。
「前日の元旦、神野は実業団駅伝の『第61回全日本実業団対抗駅伝』に出場しており、エース区間とされる4区を走っている。箱根駅伝の解説をするため、神野だけが所属チームとは別行動だった」(大学関係者)
視聴者の興味を引きつけるため、日テレも“見せる”ことに力を入れていたのが分かる。
「近年、日テレはNHKが中継する高校野球の甲子園を意識しており、各選手の出身地や出身校に絡んだエピソードを紹介し、ふるさと対抗の様相も加えています。箱根駅伝は関東学生陸上競技連盟の主催だから、出場校は東京、関東圏の大学に限られますが、出場選手は地方出身者ばかり。エントリー選手に“東京都出身者ゼロ”という大学もあったほど」(同)
正月の風物詩である箱根駅伝が、毎年高視聴率を弾き出す理由はこのあたりにもあるようだ。
また、過熱する駅伝人気にスポーツメーカーも便乗し始めたという。
「青学大にユニホームを提供しているのが、国内のA社。それまでは海外大手が幅を利かせていたんですが、青学大の躍進でA社は大喜びです。各社とも、シューズ提供やジャージなどの売り込みに熱心です。学生相手だからお金は発生しませんが、各大学のエース選手や監督のところにブ厚い契約書を持ってくる企業もあります」(同)
レッド、オレンヂ、グリーン、ブルーなどなど、ド派手なシューズを履く選手が激増したのも、その影響という。
ちなみに、青学大選手の履いていたシューズはミズノ2人、アディダス7人、ナイキ1人だった。
「原監督の出現で関心もさらに高まった。競技の性質上、先頭集団の選手は長くテレビ画面に映る。企業が放っておくはずがない」(スポーツ紙記者)
それにしても原監督、今大会「サンキュー大作戦」と命名したが、15年は「ワクワク」、16年は「ハッピー」と3年連続で「大作戦シリーズ」を成功させた。
「負けた場合はソーリー! ソーリー! ソーリー大作戦でした、と頭を下げるつもりだった。私がバカになって敗戦の責任を負えばいい」
とぶっちゃけた。本当にゆとり世代の人みたい(笑)。