全国初の水陸両用バスは昨年12月から大阪で本格的に定期運行されている。今年1月には水陸両用タクシーも登場し、ニュース番組でも取り上げられた。“東京上陸”となれば再び話題を集めそうだ。
バスを運行する「日本水陸観光」(大阪市)によると、毎日4〜5便の定期ツアーをはじめ週末は予約でほぼ満杯という。「水に親しんできた大阪の街の良さを味わってほしい」と同社。この人気に気をよくしたのか、東京や横浜などで営業を開始するという。
東京湾を抱える東京は大阪に負けない「水の都」だ。江戸時代から水路を有効活用してきた。現在も隅田川やお台場周辺で水上バスが複数路線を設けて運行されており、修学旅行客や観光客でにぎわっている。故黒川紀章氏は都知事選に出馬した際、「これだけ張りめぐらされた都内の水路を活用しない手はない」などと交通渋滞緩和に役立てるプランを練っていた。
観光目的であったとしても、たとえば江戸情緒あふれる屋形船スタイルの水陸両用バスが登場すれば、夏場の夜にオフィス街から涼しい水辺に直行できるようになるかもしれない。貸し切りバスにして、仕事終わりにすぐ屋形船で生ビールを飲みたい!というサラリーマンを集客する手もある。芸者兼バスガイドが同行すれば文句ナシだろう。
多摩川のタマちゃんを間近で見るツアーだって組めたかもしれない。もういないけど…。
運行開始時期やコース&料金など詳細は不明だが、いずれにせよ東京の特性を生かした工夫はさまざまできそうだ。
大阪での運行コースは、市内中心部から大阪城、府庁などを回って大川(旧淀川)をクルージングし、陸路にあがって御堂筋を走る。陸上70分と水上30分で、料金はオンシーズンで大人3600円、小学生以下2300円(いずれも税込み)。車体は国産8トントラックを約1億円で改造した米国CAMI社製で39人乗り。陸上での最高時速は120kg、水上は15kg出すことができる。
バスを所有する大阪市内のNPO法人は本格的運行にさきがけた昨年7〜11月、栃木県鬼怒川流域の観光振興のために貸し出したところ目標の乗客1万人を達成。地元観光業関係者は思わぬ集客効果に喜んだ。