この病気治療の基本は、胃酸の分泌を抑えること。専門医が処方する「プロトンポンプ阻害薬」を内服すると数日で症状は治まり、2週間ほどで炎症は消えるという。しかし、薬を止めた半年後の再発率は約90%と高い。
そして、こうした危険な症状を無くすには、一にも二にも、食生活の改善が必要なのだ。
生活習慣病の予防運動を推進している健康管理スペシャリストの相原恒彦さんは、その重要性をこう説いている。
「胃酸の分泌が高まる原因はさまざまありますが、精神的なストレスも一因です。加えて、たくさん食べる人は余計に酸が出てきます。太れば食道と胃の接合部分に当たる噴門部(括約帯)の締まりが悪くなる。この部分の肉が緩んでしまうので、胃の中の酸が逆流して炎症を起こすのです。ストレスが溜まるからといって“ドカ食い”していいことは一つもありません」
「逆流性食道炎は日常生活の改善で緩和される」という自説を持つ相原さんに、“ならないため”の予防策と、“なったとき”の注意点などを挙げて貰った。
(1)脂肪の多いチョコレートなどの甘いもの、柑橘類、コーヒー・紅茶、香辛料、アルコール類、たばこなどは、胃酸の分泌を高める。また脂肪分の多い肉類や、脂っこい食事は避ける。
(2)特に夕食メニューはあっさりと少な目に。消化の良い物を中心に摂り、なるべく早い時間帯で済ませたい。胃の中の食べ物の停滞が、長くなると逆流を起こしやすい。
(3)食後、すぐに横にならない。食後は横になってテレビでも見たくなるが2時間はがまんする。
(4)寝ている時、胃酸がノド突き上げて来たら、まず水を飲む。出来たら白湯が一番よい。後は唾液で流し込む。ガムが手元にあれば、噛んでいると大量の唾液が出る。
(5)寝る時は、二重枕で頭を高くして逆流を防ぐ。寝る時の姿勢では、頭が低いと胃や食道と平行になり、口へ胃酸が逆流し不快感だけでなく、食道に炎症を起こしかねない。また横になる時は、“左肩”が下になる姿勢をとる。
最近は、美食飽食のせいか、はたまたストレス社会に耐えきれず、暴飲暴食で健康を害する人は少なくない。今回の場合もその一つで、まずは生活習慣病を克服することが大事。
医療機関での体のチェックをぜひとも奨励したい。