「今後水害に遭った地域で注意しなければならないのは『リフォーム詐欺』です。一人住まいや高齢者宅などの半壊した被害者を狙って虚偽の事実を告げ、材料費や工事費などの名目で現金をだまし取る詐欺のことで、工事する気はないので『前金詐取』といえます。同じく、ずさんな工事で高額リフォーム費用を請求するものや、リフォームの必要もないのに工事を行って費用を請求するものもいる。後者は工事自体は行うので、“悪徳商法”の部類といえるでしょう」(同)
茨城や宮城などの今回の被災地域には太陽光発電をしている家屋も多く、こうした工事の悪徳業者に気を付ける必要もあるという。
「太陽光発電は財産的な意味合いもあり、そこに付け入るのです。概算で見積もりを出した後、追加工事分のお金を請求する業者、中には屋根から大きくはみ出してパネルを取り付ける業者もいて、この場合、メーカーの保証を受けることが難しくなる。メーカー保証がないと国の補助金は交付されません。メーカーの正規施工資格を持っているかどうか、事前に確認を取った方がいいと思います」(消費生活センター)
常総市の越水は、自然堤防を削り取って行った太陽光発電の乱開発が一因になった可能性もある。それが、さらに太陽光発電でだまされては、あまりにむごい結末となってしまう。警戒を怠ってはならない。
もう一つ、この水難で高笑いしていたのは誰あろうテレビ局だ。各局とも濁流に飲み込まれそうな住民を映し出すことで視聴率アップを狙ったとしか思えない報道を、しかもどの局も耳障りな絶叫まで流し続けた。
「東日本大震災時、報道各社は津波が家々を襲うシーンを一斉に報道し、後に批判されました。国や各自治体の災害対策に重点を置いて報道する必要を各局は痛感したはずですが、その教訓がまったく生かされていない。撮影のために競うようにヘリコプターを派遣し、ヘリの風圧が濁流を揺らしていましたが、阪神大震災のとき、すでにヘリを飛ばすと音や風が救助活動の邪魔になると指摘されていた。アナの絶叫など面白半分としか言いようがない」(防災ジャーナリスト)
教訓が生かされなかったといえば行政も同じだ。常総市は鬼怒川の堤防が決壊した9月10日に、避難指示や避難勧告に関する携帯電話などへのエリアメールを配信していなかった。
一方、気象庁が促した特別警報「直ちに命を守る行動をとってください」というのも、一応は、最大級分かりやすく言ったつもりだろうが、具体的な行動が周知徹底されたとは言い難い。中には、このセリフに戸惑った人も多いはずだ。
“災難”は忘れたころにやってくる、だけではない。これからは、災害の後はもちろん、災害発生の真っ最中にも不幸は起こり得ると肝に銘じるべきだろう。