ケチの付き始めは、昨年の大晦日、マクドナルド東陽町駅前店で販売されたチキンナゲットにビニール片が混入している、さらに年が明けた1月3日、青森の三沢店で同じくチキンナゲットに青いビニール片が混入しているとの苦情発覚からだった。
「昨年の賞味期限切れ食材の使用の件もあったからでしょう。この事態が発覚するや、『なぜまだ販売しているのか?』など、検証も含めネット上などは大騒ぎになりました」(社会部記者)
騒動はこれだけでは収まらない。これらの異物混入の詳細が報じられると、フライドポテトの購入者から“人の歯”が混入していたとの苦情が寄せられていたことも発覚。ここに至っては会見で謝罪するしかないと判断したのか、1月7日、日本マクドナルドHDの青木岳彦取締役と日本マクドナルドの菱沼秀仁取締役が記者会見を行い弁明に終始。しかし、両社の代表取締役を務めるサラ・エル・カサノバ社長は“海外出張を切り上げて帰国中”との理由で出席せず、火に油を注ぐ事態となった。
ジャーナリストの大谷昭宏氏はこう言う。
「消費者が人の歯を食わされるところだったのに、社長が出席しなかったことには呆れてしまいました。マクドナルドにとっては、そんなことよりも海外出張の方が大事なのか。そう消費者が思っても仕方がない。あの会社の体質を見るような思いでしたよ」
会見の冒頭、青木氏は「製造工程で異物混入がないようにしている。しかし残念ながら今回お話させて頂いているような異物混入が発生している」としながら、「問い合わせ頂いた場合、それがどういう状況で起きたのか、それをお客様からお預かりして、異物という物が科学的に客観的に何だったのかをチェックをさせて頂いてる」と述べているが、これにも疑問が残る。
「そもそもそういう体制が機能していれば、こうした不祥事があった際、次から次へと新たな問題が出てこないはずです。第一線の現場に処理させているから、こんなことになるのです」(大谷氏)
同社は会見で異物混入についてクレームが発生していることは認めている。しかし、過去に何件ぐらいあったのかの質問にも、「この場で具体的な数字を公表するのは控えさせていただきたい。発生した内容、それがもたらすお客様への影響、それからどのくらいの規模で起こりうるかということなどから、どのように対応するか社内で判断している」と答えるにとどまり、報告されたのは以下の4件についてのみだった。
(1)ポテトから人の歯(昨年8月・大阪府河内長野市)
(2)パフェからプラスチック片(昨年12月・福島県郡山市)
(3)ナゲットから乳白色のビニール片(昨年12月・東京都江東区)
(4)ナゲットから青いビニール片(1月3日・青森県三沢市)
(1)に関しては、従業員は作業中マスクを使用し歯が抜けた人もおらず、消去法で出所を発見することはできなかったという。調査でフライされていないことが確認されたが、故意や嫌がらせという可能性も含め現時点において原因は不明のまま。(2)のケースは、店舗内の製造機器の不備によってアイスが冷え過ぎて硬くなり、それにより装置の部品が一部破損したため発生したという。
(4)の青いビニール片はその色から、工場で混入した可能性があるとして調査。しかし、(3)の乳白色のビニール片に関しては、工場で混入した可能性は低いため店舗の混入を調査中とのことだが、肝心の混入物を店舗側が紛失したために、実際の異物を本部が確認できていないというずさんさを見せている。