第9話は、朝顔(上野樹里)の幼馴染み、三郎(きづき)の妻・結衣(松長ゆり子)が亡くなり、興雲大学の法医学教室に解剖が依頼されてくるというストーリー。遺体を見た朝顔は震えるあまりメスを落としてしまい、茶子(山口智子)に叱責されてしまう。朝顔は三郎が結衣を殺すはずがないと訴えるが、警察の疑いの目は三郎に向かい――という展開になっていた。
朝顔が解剖医で、夫の真也(風間俊介)と父の平(時任三郎)は刑事。同じ事件を担当することもあるが、仕事とプライベートは分けられており、リアリティのある生活が描写されていることでも話題になっている本作だが、第9話では、その傾向が特に見られたという。
「結衣の解剖ができなかった日、落ち込む朝顔は娘と普通に接しながらも、『今日ママ、夕飯さぼってもいいかな?』と出来合いのコロッケを買って帰りました。その後、三郎に差し入れのお弁当を持って行くも、子どもを義理の祖父母に取られて自暴自棄になっている三郎に渡すことはできず、自宅で一人で食べるシーンがありました。しかし、三郎が出頭したことを聞き、平の担当だった夕飯当番を朝顔は自ら代わって、一心不乱にカレーを作り、平に諭されたこともあり、仕事に復帰。食事という日常風景と朝顔の心情が対比されており、視聴者は『こういう描写があるからこのドラマは温かみがある』『元気ないときにカレー食べて復活するって経験あるけど、その共感できる普通さがいい』『落ち込んでる時に出来合いのコロッケ買って行っちゃうリアルさを月9で見られるのはすごい』という絶賛が聞かれています」(芸能ライター)
医療ドラマや刑事ドラマの場合、事件などが中心に描かれ、登場人物たちの生活描写は疎かになりがちだが――。
「本作は医療やミステリーも描かれているものの、人間描写があまりにも丁寧なことから“夜の朝ドラ”とも呼ばれています。当初は震災描写などで賛否を集めたものの、心理描写の丁寧さなどが評価され、今やここ数年の月9ドラマの中でも上位の評価を得る結果に。自宅の中も既製品が多く、『このお皿同じ』『この鍋使ってる』といった共感も多々聞かれることもあり、『ほかのドラマと違って、解剖医も刑事も人間なんだなって感じがする』『医療ドラマでも刑事ドラマでもなく、まさにヒューマンドラマだよね』といった声が寄せられています」(同)
特別感がないからこそ、多くの視聴者の共感を得たようだ。