A:実は私も50歳を超えてから血圧が上昇し、1年前から降圧剤を服用しています。最高血圧は150mmHg程度ですが、最低血圧が100mmHgを超えることがあります。最低血圧が高いことから、降圧剤を服用するようになりました。
高血圧で困ることは直接的には頭痛がありますが、その他に合併症である脳出血や心筋梗塞があります。脳出血は、最近は減少傾向です。さすがに最高血圧が180mmHg以上もある人はまれです。塩辛い食生活が改善されてきたり降圧剤を内服して、国民全体として血圧が下がっていることが、脳出血減少の背景にあると思います。
しかし、心筋梗塞は減っていません。心臓について簡単に説明すると、心臓の左心室から上行大動脈へと、血液が全身に押し出されるわけですが、その上行大動脈の根元に左右の冠状動脈が分岐しており、心臓を養っているのです。
冠状動脈に血液が流れるのは大動脈弁が閉じているとき、すなわち最低血圧の脈圧で冠状動脈に血液が送られるのです。これが高すぎると冠状動脈に障害が起きるわけです。
●降圧剤は服用量に注意
最高血圧は緊張や寝不足、加齢で上がります。だから、ご質問の方は、少しはのんびり構えて生活習慣を改めることで経過を見てもよいかもしれません。早寝早起きや節酒、運動で血圧が落ち着くことも期待できると思います。
それでも最低血圧が下がらないときは、降圧剤を服用したほうがよいと思います。ただし、新たに服用を始める場合、服用量に注意しなければなりません。
それまで高血圧になれている人が降圧剤を服用し、急に最高血圧が120mmHg程度に下がると、体がだるくなることがあります。最初のうちはあまり下げ過ぎずに調整したほうがよいかと思います。
私も、せっかく降圧剤を服用しているのだからと、量を増やしたところ、どうもしんどくてたまらなくなったことがあります。血圧を測定したら、最高血圧は115mmHgでした。降圧剤を減らしたら、調子が戻ったことがあります。
ご相談の方は、医師に勧められたということですから、降圧剤を内服する時期にきているかも知れません。処方された降圧剤を飲み始めた当初、動悸などわかりやすい副作用が出た場合だけでなく、なんとなくしんどくて血圧が高い場合も医師に相談しましょう。
牧典彦氏(小山病院院長)
自律神経免疫療法(刺絡)や加圧トレーニング、温熱療法、オゾン療法など保険診療の枠に捕われずベストな治療を牧病院(大阪市)で実践。小山病院(大阪市)院長。