3月22日の地元紙報道によると、北部ミシオネス州にある州立公園内のジャングルで建造物らしきものが発見され、ブエノスアイレス大学都市考古学センターの調査チームが発掘調査を実施していた。その結果、建造物は高さ約3メートルの壁で囲まれ、住居用、倉庫用、監視用とみられる3棟構造が明らかになった。
有力な手掛かりとなったのは、苔に覆われた壁に彫られていたナチスドイツを示す「ハーケンクロイツ(鉤十字)」のマーク。考古学センターのダニエル・シャベルソン教授は、人跡未踏の地で発見されたこの人工建造物について、「多大の労力とコストをかけて造られた建物はナチス関連以外では説明がつかない」と分析している。
「専門家たちは、敗戦後に連合国やイスラエルの追及を逃れたナチスドイツの幹部をかくまうための隠れ家にほぼ間違いないとみている。こうした隠れ家を砂漠、崖地、山岳地帯、ジャングルなどに造るというナチスの秘密プロジェクトがあり、これはその一つだろう」(外信部記者)
アルゼンチンは、第2次世界大戦中に軍で頭角を現し、戦後間もなく大統領に就任したフアン・ペロン氏が、戦時中のドイツによる財政支援への見返りとドイツの科学技術獲得を目的にナチスドイツの幹部をかくまったことから、ナチス残党が多く潜伏。1960年にはナチス親衛隊のアイヒマン中佐が、アルゼンチン潜伏中にユダヤ人虐殺の戦犯を追跡していたイスラエル諜報機関によって身柄を拘束され、イスラエルでの裁判(人道に対する罪、戦争犯罪)で死刑判決を受け、処刑されている。
今後の調査に注目だ。